妊娠28週~39週の約3カ月間を指す妊娠後期になると、「夫婦2人きりで過ごす最後の時間だから」あるいは「第1子と3人で過ごせる貴重な時間だから」といった理由から、マタニティ旅行、いわゆるマタ旅に出かける人もいるでしょう。しかし非日常を送ろうとすれば当然「リスク」が出てくるものです。

「リスク」をどう捉えればいいのか。さらには妊娠後期の今だからこそ夫婦で見直してほしいことについて、山王病院の大柴葉子副院長に聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 出産まで3カ月で胎児の体重はまだ半分 注意点は
(2) 妊娠後期、かぜ症状や便秘症状に潜む大きなリスク
(3) 高齢出産に伴う悩み 精神面にも要注意
(4) 「マタ旅」のリスク管理 早産が多いのは妊娠後期 ←今回はココ

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

30週の推定体重は生まれてくるときの半分程度

 妊娠も半ば以降は「安定期」だからアクティブに動ける時期だと考える人が多いものですが、実は病気が発覚して受診するケースが多いのは、圧倒的に妊娠28週以降の妊婦さんなのだと山王病院の大柴葉子さんは言います。

 「早産にしても、23週、24週で生まれるというケースは確かにありますが、28週以降のほうが数としても多くなります。『ここまできたから大丈夫なはず』と思うかもしれませんが、30週での胎児の推定体重はおよそ1500gと生まれてくるときの半分程度しかありません。つまりまだまだ小さくて、リスクが高いということです」

 安定期だからとアクティブに動くと、リスクを高める可能性がある。そのことを十分に理解したうえで、日々の生活を送る必要があります。

 では、マタニティ旅行、いわゆる「マタ旅」には行ってはいけないのでしょうか?

 「よく、飛行機に乗っても大丈夫ですか? と聞かれます」と大柴さんは言います。

<次のページからの内容>

● マタ旅におけるリスク管理とは?
● 飛行機を利用する場合、被ばくを自覚する必要性
● リスク管理のために必要な夫婦の話し合いとは?
● 妊娠後期は夫婦関係再構築のチャンスに
● マタ旅が「胎児虐待」になる?