妊娠後期とは(妊娠8カ月=28週~10カ月=40週の約3カ月間)のこと。一般的には「安定期」とも呼ばれる時期であり、産休・育休を見据えて保育園の見学からマタニティスイミングなど、活動的になる妊婦さんも多い時期です。とはいえ出産を迎えるその日まで、リスクがなくなることはありません。年間分娩数が約1400件という病院での勤務経験を生かし、職業人、そして母としての細かいアドバイスを送り続けている山王病院の大柴葉子副院長に、妊娠後期のリスクについて聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 出産まで3カ月で胎児の体重はまだ半分 注意点は ←今回はココ
(2) 妊娠後期、かぜ症状や便秘症状に潜む大きなリスク
(3) 高齢出産に伴う悩み 精神面にも要注意
(4) 「マタ旅」リスク管理 早産多いのは妊娠28週以降

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

30週以降はどんなスレンダーな人でも隠すのが難しくなる

正産期まで3カ月で胎児の体重は2倍に増えることを意識する

 出産まであと3カ月となる妊娠後期に入ると、妊婦の体にはどんな変化が出てくるのでしょうか。

 山王病院の大柴さんは「特に30週以降は見た目が変わり、個人差が出てくる時期ですね」と言います。

 「例えば推定児体重と胎児発育曲線を±2.0 SD(標準偏差)で見てみると、30週より前は、胎児の体重自体の個人差は出にくいのですが、30週をすぎるとプラス側(上の点線)とマイナス側(下の点線)の幅が広くなるのです」

 40週での分娩時の正常新生児の男子が約3100g、女子が約3000gがおおよその平均値ですが、30週での胎児の推定体重はおよそ1500g。つまり、生まれてくるときの半分程度です。

 「30週は妊娠期間の4分の3が過ぎたところですから、ご本人としては『ここまできた。あと2カ月半』とひと息つくようなイメージかもしれません。でも胎児の体重はまだ半分しかないということは、残り4分の1期間で2倍の大きさ・重さになるということです」

 「おなかが張る」と訴える妊婦さんが増えるこの時期は、「まさに『身重(みおも)』になっていく」期間。グッと妊婦らしい見た目になるといいます。

 「初産婦さんでも、どんなスレンダーな人でも、隠すのが難しくなるくらい、おなかが出てきます。例えば、チュニックなど比較的ゆったりとしたトップスを身に着けていても、妊婦さんらしいシルエットになるので、見た目に変化が訪れるということを念頭に、着る服を準備しておくといいのではないかと思います」

 もちろん見た目が変わるだけでなく、胎児も成長し、リスクも変わってきます。妊娠後期に注意しなければならないリスクとは、どのようなものでしょうか。

<次のページからの内容>

● 22週で生まれたら体重は500g程度、28週なら1000~1300g
● 22週以降の「早産」、28週以降なら生命予後が向上
● 34週から36週に生まれた子どもは「後期早産児」
● 35週未満では接種必要なワクチンが1種類追加に
● 早産児であれば『おぎゃあ』と生まれて元気に見えても、なおさら注意が必要