妊娠・出産にはどれくらいのお金がかかるのでしょうか。「健康に自信がある」という人でも、どんなトラブルに見舞われるか分からないのが妊娠・出産。近年は制度が充実してきたおかげで、自己負担しなくてはならない金額を過剰に恐れる必要はありませんが、制度を知らなければ、損をすることもあります。妊娠・出産に備えて、知っておきたいお金の知識をファイナンシャルプランナーに聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休】
(1) 忘れちゃダメ 出産前・復帰前にやるべきことリスト
(2) 出産にはいくらかかる?知っておきたい基本の制度 ←今回はココ
(3) 「家計がつらいのは育休明け」夫婦で育休中に共有を
(4) 産後の抜け毛、白髪 気になる髪のトラブル

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

妊娠・出産は、家計を見つめ直すよいチャンス

 妊娠・出産という未知のイベント。費用はどれくらいかかるのでしょうか。「妊娠出産には健康保険が適用されないから『子どもが生まれるときにお金がたくさんかかる』というイメージを持っている方も多いですが、最近は制度が充実してきたので、それほど恐れる必要はありません」とファイナンシャルプランナーでハートマネー代表の氏家祥美さんは言います。

 氏家さんのところには、産前や産休、育休中に家計相談に訪れる共働き夫婦が多いと言います。「共働きだと、結婚のタイミングで家計について深く考えるカップルは意外と少ないと思います。お互い忙しいし、収入が+αになるだけなので、家計を見直す必要に迫られないまま結婚生活を続けてきた、というケースも多いでしょう」

 「でも、子どもができると、『18年後は大学の費用が必要』など急に現実的なライフプランが見えてきます。『そういえば民間の保険も入ってない!』など妊娠・出産を機に、色々と不安になる人は多いようです」

妊娠・出産の費用は恐れるに足らず

 まず、妊娠したら、どんな費用が発生するのでしょうか。妊娠中は、赤ちゃんが順調に育っているのかを調べるために、定期的に妊婦健康診査を受ける必要があります。妊婦健診は健康保険が適用されないため、本来は全額自己負担ですが、自治体が費用を助成しています。「例えば東京都内であれば、妊娠届を自治体に出せば、クーポン券のような受診票をもらえます。健診費用は病院ごとに異なるため、高額な病院で受診したり、受診票の範囲外の検査をたくさんすると自己負担額が増えることはあり得ますが、基本的な検査項目の14回分の費用は概ねカバーされます」

<次のページからの内容>
● 分娩・入院費は病院選び次第
● トラブルで医療費が高額になった場合
● 妊婦は民間の医療保険に入れる?
● 妊娠のトラブルで会社を4日以上休むなら