0歳から乳幼児期にかけ、飛躍的に発達する子どもの言語能力。家で過ごす時間が増えている中、ママやパパは赤ちゃんにどんな言葉をかけたり、身ぶり手ぶりを示してあげればいいでしょうか。赤ちゃんの言語発達において、声かけとジェスチャーがもたらす効果について、玉川大学大学院・脳科学研究科教授で「乳幼児の音声コミュニケーション発達」について研究を行う梶川祥世さんに聞きました。

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声かけとジェスチャーによるメリットとは

 赤ちゃんをあやすときや寝かしつけるときなど、子育てのさまざまな場面で、ママやパパは無意識のうちに赤ちゃんに声をかけたり、身ぶり手ぶり(ジェスチャー)をつけたりしています。そもそも、赤ちゃんへの声かけやジェスチャーにはどんなメリットがあるのでしょうか。

 赤ちゃんは胎内にいるときから周囲の音を聞き、1歳ごろには単語の理解が飛躍的に発達、2歳ごろには二語文(「ワンワン、いた」など2つの単語がつながった文)を話すようになります。玉川大学大学院・脳科学研究科教授で「乳幼児の音声コミュニケーション発達」について研究している梶川祥世さんは、「赤ちゃんの興味を引くような声かけやジェスチャーをすることで、赤ちゃんが言葉を聞き取りやすく、覚えやすくなると考えられます」と話します。

 とはいえ、赤ちゃんの言語発達のスピードには個人差があり、早ければいいというわけではありません。声かけやジェスチャーには、発話を促す以上に「親子間のコミュニケーションをスムーズにする」という大切な役割があることも、梶川さんは指摘します。

 「赤ちゃんが意味のある言葉を話し始めるのは、個人差がありますが1歳くらいから。それまでは、『赤ちゃんがどんな言葉や動きに反応してくれるか、観察して楽しむ』というくらいの気持ちで、いろいろな言葉や動きを試してみてください。これは伝わらなかったかな、こんな言葉だと楽しんでくれるかな……と試すうちに、親子のコミュニケーションも豊かになっていくでしょう」

 また、赤ちゃんや乳幼児は言葉の意味が分かっていてもうまく発音できず、表現できないときにはジェスチャーで意味を伝えようとします。特に生後8~10カ月ごろからはさまざまな手の動きができるように。「普段からジェスチャーを使ったやり取りに慣れていると、ママやパパも赤ちゃんの要求を理解しやすくなると思います」

 それでは具体的に、どんな言葉をかけたり、ジェスチャーをしたりすればいいのでしょうか。赤ちゃんが覚えやすい言葉には、いくつかの特徴があると梶川さんは言います。次のページから見ていきましょう。