「眠くてたまらない」「眠れない」――。妊娠中は、睡眠に関するトラブルを抱える人が多いと言われます。さらにコロナ下の現在は、さまざまなストレスや不安によって、良質な睡眠を取ることが難しくなっている「働く妊婦」も少なくないかもしれません。睡眠コンサルタントの友野なおさんに、前後編に分けて「妊婦と睡眠」について聞きます。前編は、妊娠初期・中期・後期にみられる睡眠トラブルについて。次回の後編では、すこやかな睡眠のために日常的に妊婦が心がけたい生活習慣について紹介します。

【年齢別記事 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 眠くてたまらない 眠れない 妊婦の睡眠トラブル ←今回はココ
(2) 妊婦の睡眠 良質な眠りのために日々心がけたいこと

妊婦が抱えやすい睡眠トラブルとは

 「女性の体は、毎月の月経や、妊娠・出産、閉経などフェーズごとにホルモンの影響を受け、そのために睡眠のトラブルを抱えやすいと言われています。節目の中でも特に大きいものが妊娠といえます」と、睡眠コンサルタントの友野なおさん。

 妊婦は睡眠トラブルを抱えやすいのでしょうか。「妊婦約500人に睡眠習慣の変化について聞き、約半数が不眠症であったという研究報告があります。多くの妊婦が夜中に目覚める『中途覚醒』を経験しているという調査報告や、睡眠ポリグラフなどの機器を使った研究で、出産が近い時期になると睡眠が浅くなるという調査結果も出ています」

 「妊娠に伴うホルモンの変化や、子宮が大きくなることによって起きるさまざまな不快な症状をマイナートラブルと言います。その複数あるマイナートラブルのひとつに、眠くなるなど睡眠に関わる問題が挙げられています。

 また、マイナートラブルには、ほかにも便秘や頻尿、倦怠(けんたい)感、疲れやすいなどの全身症状や、抑うつ、イライラ感などの精神症状がありますが、そうした心身の両面に影響が出るマイナートラブルが発展して、その結果として睡眠に影響が出ているとも考えられています」

 具体的にどんな睡眠トラブルがあるのでしょうか。「妊娠という特異な状況下においては、初期・中期・後期と時期によって、眠たかったり、眠れなかったり、睡眠に関わる悩みも変化します。また、年齢が上がるにつれて睡眠の質は下がり、眠りづらくなっていきます。年齢が高い妊婦ほど、睡眠トラブルへの対応を意識する必要があると考えられます」