「産後ケア」という言葉を最近よく耳にしませんか。産後の母子が宿泊滞在して心身の回復を図る「産後ケア施設」は数年前、女優の小雪さんが韓国で利用したことで一躍有名になり、最近では卓球の福原愛さんが台湾で1カ月利用したことをブログで報告しています。日本でも産後ケア施設を利用することは可能なのでしょうか。最近、「産後ケア」に力を入れる自治体が少しずつ増えています。後半ページでは、産後ケア施設の訪問ルポもお届けします。

【年齢別特集 妊娠・育休】
(1) 日本の産後ケア施設ってどんなところ? ←今回はココ
(2) 子宮筋腫、放置していると妊娠しづらい?
(3) 資格取得したくて育休中にこんな勉強しました
(4) 育児に専念? リフレッシュ法は? 育休中したこと

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

出産の高齢化で実家のサポートを得られない

 「産後の床上げ」や「産後の肥立ち」という言葉があるように、産後の女性は、出産のダメージが回復するまで、十分に休養したほうがよいといわれてきました。「里帰り出産」などで、実家の助けを借りて母体を養生する習慣は今もありますが、最近は妊婦の高齢化などで両親のサポートを得られないケースも増えています。また、初めての育児は、分からないことばかりで不安です。体の回復もままならない状態で、誰からもアドバイスや助けを受けられず、心身共に疲弊してしまうと、産後うつや乳児虐待などにつながる可能性もあります。

体を回復させながら育児の不安を解消する

 そんななか、産後の女性の心身をケアする「産後ケア」を進める自治体が増えています。必要性は叫ばれているものの、まだ過渡期のため、自治体によって提供しているサービスは異なります。産後ケアには、産後ケア施設に宿泊滞在する「宿泊型(ショートステイ)」だけでなく、産後ケア施設を日帰りで利用する「デイサービス型」や、支援員が自宅に来て育児や家事を支援する「派遣型」などもあります。対象となる時期も自治体によって異なります。

 一般的な宿泊型の産後ケア施設では、食事を提供し、助産師などの專門家が、授乳など育児の助言をします。産後の女性が、食事作りなどの家事に煩わされることなく、体を回復させながら、専門家のアドバイスを得て、育児の不安を解消することが目的です。

とよくら産後ケアハウス豊倉助産院の個室
とよくら産後ケアハウス豊倉助産院の個室
<次のページからの内容>
・自治体が利用料を助成する産後ケア施設
・育児に慣れたころに退院、自信を持って自宅へ
・宿泊型の産後ケア施設訪問ルポ
・「職場復帰に向けて早く体を回復させたい」
・「日帰り」の産後ケアって何をするの?