妊娠が分かり、市区町村窓口に届け出をすると、受け取ることができる「母子健康手帳」(以下、母子手帳)。助産師の大村祥恵さんは、「自分の体調などを記録するだけではなく、成長したわが子に向けたメッセージを書くのがお勧め」と語ります。今回は、母子手帳の意外な役立て方と、生まれてくるわが子へのメッセージを書くときのポイントをお伝えします。

【年齢別記事 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) わが子に命の大切さを伝える「母子手帳」の書き方とは? ←今回はココ
(2) 1日でも長くお腹に 切迫早産どう乗り越える?
(3) 育休中のイライラ・モヤモヤ解消に役立つ手帳活用術
(4) 職場復帰目前! 片付け&収納を制して家事効率UP

母子手帳には、多くの人が関わり成長してきた痕跡が残る

 母子手帳には、妊婦健診、出産時や乳児健診、予防接種などの記録を医療者が行う以外に、持ち主であるママ自身が、自分や赤ちゃんの状態を記録するページがあります。

 詩音助産院の大村祥恵さんは、「今の母子手帳には、ママ自身で自由に書き込みができる欄も大きくとられています。そこの書き方を工夫することで活用幅が何倍にも広がりますよ」と話します。

 「その際に意識したいのは、生まれてくる子どもに伝えたいメッセージを書くことです。小学生になると多くの学校では、生活科や道徳の時間などに『命の授業』を行います。性教育とは少し趣旨の異なるこの授業では、児童が、『自分がこの世に生まれてきたことが、いかに素晴らしく奇跡的なことなのか』について学ぶのです。これによって、『自分が生まれたときはどうだったのか?』ということに興味を持つ子も少なくありません。母子手帳は、そうした子どもの疑問に答える、アンサーツールでもあるんですね

 母子手帳には、医師や助産師、その他さまざまな人の自筆の文字が残っています。大村さんは、「それを見るだけで、子どもは、自分が生まれるためにどれだけ多くの人が関わってくれたのかを実感できます。また妊娠中や出産後に親が自分に向けて書いてくれたメッセージがあれば、『自分は親に大切にされてきたんだ』『愛されてきたんだ』と感じることができるでしょう」と話します。

 とはいえ、まだ生まれていない状態で、おなかの中のわが子が成長したときを見据えて、どんなメッセージをどう書けばいいのか、なかなかピンとこない人もいると思います。次のページから、あるママの母子手帳を参考に、未来の子どもに向けたメッセージを書くポイントや、医療者向けの記録を書く際のワンポイントアドバイスなどを、大村さんに解説してもらいました。