出産後、約10人に1人が「産後うつ」になるといわれています。赤ちゃんがかわいいと思えない、自分は母親失格だ……など、育児に困難を抱えやすくなります。今回は、パートナーや友人が産後うつかも?と感じたときに、周囲の人が行いたいサポートについて紹介します。産婦人科医で、産後うつにも詳しい広尾レディース院長の宗田聡さんに聞きました。

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1)誰にでも起こり得る産後うつ 兆候と対処法
(2)パートナーやママ友が産後うつかも?と思ったら ←今回はココ

積極的に「ママのお休みの時間」をつくる

 産後うつとは、出産後1カ月ごろを中心に見られるうつで、ほとんどの場合、産後1年のうちに発症します。身近な人が、産後うつかもしれないと思ったとき、パートナーや家族にできることは何でしょうか。

 それがママの場合、パパは「とにかく、ママの話に耳を傾けてあげてください」と広尾レディース院長の宗田聡さんはアドバイスします。

 「育児のつらさなどについてママが語る際に、男性はつい論理的な解決法などを提案してしまいがちです。しかし、意見を求めているわけではありません。話を聞くときのこつは傾聴と反復です。『うんうん』と話を聞いて『そう、つらいんだね』と相手の言葉を反復してあげる。それだけでいいのです」

 変化に気付くためにも、日ごろから会話をするなど、コミュニケーションを取ることが大切です。次のような変化が現れたら、注意が必要だと言います。

・最近、笑顔が見られなくなった

・食欲がなさそう

・「この子を生まなければよかった」など、育児にネガティブな発言が見られる

 こうした変化は、ママの心が弱って産後うつに進んでいくかもしれないサインです。兆候が見られたら、積極的に「ママのお休みの時間」をつくるようにします。

 「平日に仕事から帰ったら、例えば、ママがゆっくり入浴できるように、その時間に赤ちゃんの面倒をみたり、週末など、ママが一人で外出できるようにしたりします。パパが忙しいときには、両親に赤ちゃんのお世話をお願いしてもいいかもしれません。ママが赤ちゃんと離れて、リフレッシュできる時間を作るようにしてください」

【パパができることの例】

・「疲れてない?」「僕がやるよ」と声かけをする
・赤ちゃんのおむつ替え、入浴を担当する
・ママの睡眠時間を確保するための工夫をする(4時間は連続して眠れるように、母乳を冷凍保存して、パパがそれを解凍し哺乳瓶であげられるようにしておく)
・炊事、洗濯、掃除などを担当して、ママの毎日の負荷を減らす

 一方で、実は育児中のパパにも、産後うつが増えているといいます。

 また、産後うつを防ぐための自治体の取り組みにはどのようなものがあるのでしょうか。