妊娠、出産により女性は体も心も大きなダメージを受けます。だからこそその回復期は重要ですが、核家族化や高齢化により実家のサポートが得られないなど、産後の女性が十分に休めず、心身共に不調を来してしまうケースも。

そんななか、国が推進する「産後ケア事業」に注目が集まっています。全国的に見ると、産後ケア事業を実施している自治体はそれほど多くはありませんが、それでも産後ケアを目的に民間サービスを活用している自治体は増えてきています。

では、そうした自治体ではどのようなサービスを提供しているのでしょうか? 2018年の日経DUALと日本経済新聞社による共同調査「自治体の子育て支援制度に関する調査」を基に、その内容をお届けします!

【年齢別特集 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 流産と不育症 どこで見分ける? 治療は可能?
(2) 産後の家庭を支援する「産後ケア」どの自治体で充実? ←今回はココ
(3) 職場復帰目前! 片付け&収納を制して家事効率UP
(4) パパの料理で職場復帰パワーアップ! 家電も味方に

子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

「産後ケア事業」を実施する市区町村は全国で約26%

 昔から「産後の肥立ち」「床上げ」という言葉があるように、妊娠、出産を経た女性は、出産のダメージが回復するまで、十分に休養したほうがよいといわれてきました。とはいえ今は、核家族化や高齢化により実家のサポートが得られない、あるいは夫が育休を取れず協力が限られている、近隣に頼れる知り合いがいないというケースが増えています。十分に養生できないうえに、初めての育児で分からないことばかりで不安が募ることで、心身共に疲弊し、産後うつや乳児虐待などにつながる可能性も指摘されています。

 そこで注目されるのが「産後ケア事業」です。産後ケアは、出産後の女性の心身の回復はもちろん、育児のサポートなどを行い、産後の生活を支援するもの。必要性を叫ぶ声が高まっています。

 2018年に厚生労働省がみずほ情報総研に委託し実施した調査では、「産後ケア事業」を実施する市区町村は全国で約26%。予算や人員の確保の課題を抱え、産後ケアに手が回らない自治体も多く存在していますが、徐々に増えてきてはいます。

 では、実施する自治体ではどのような事業が展開されているのでしょうか。産後ケアを目的に民間サービスを活用している自治体がどのようなサービスを提供しているのか、2018年の日経DUALと日本経済新聞社による共同調査「自治体の子育て支援制度に関する調査」を基に見ていきましょう。

 まずは調査の回答から、「産後ケアを目的に民間サービスを活用している」と回答した自治体のうち、以下の4つの項目の2つ以上を実施している自治体をまとめました。

サービスの実施内容

【1】病院の産後ケア施設利用に補助している
【2】シッターなど自宅訪問型の利用に補助している
【3】自治体が主体となって直接産後ケアのサービスを実施している
【4】その他

 次ページからはどの自治体の産後ケアが充実しているのか、具体的に見ていきます。

・調査名:「自治体の子育て支援制度に関する調査」
・調査対象:首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)、中京圏(愛知・岐阜・三重)、関西圏(大阪・兵庫・京都)の主要市区と全国の政令指定都市、道府県庁所在地の162自治体
・実施期間:2018年9月~10月
・回答数:143自治体

<次のページからの内容>

● 産後ケアが充実している12自治体を発表
● 子育てしやすい街ランキング首位になったあの自治体が最も充実
● 産褥期を幅広くカバーする産後ケアを実施する自治体も
● 自治体は産後ケア施設をほぼ委託。増えているサービスは?
● 実施していても利用者がいない自治体も!?