医療のサポートを必要とする新生児が治療を受ける「NICU」とは別に、「GCU」と呼ばれる新生児の回復治療室もあることをご存じでしょうか。生まれた子どもが標準より小さく、急きょ、出産直後にGCUでケアを受けることになるケースも、実はそれほど珍しくないといいます。長年にわたり新生児医療に従事し、3児のママでもあるサニーガーデンこどもクリニック院長の首里京子さんに、GCUとはどのようなところなのか、ケアの対象になるのはどのような子どもなのかを聞きました。

【年齢別記事 妊娠・育休中のママ・パパ向け】
(1) 赤ちゃんが小さく生まれたら?GCUで受けられるケアは←今回はココ
(2) 少し小さく/早く生まれた赤ちゃんの子育て、注意点
(3) 育休期間は途中で変更できる?【教えて!両立の知恵】
(4) 赤ちゃんの安全のために、家の中で注意すべきことは?【教えて!両立の知恵】

低出生体重児の割合は約10%で横ばいの傾向

 「出産前の妊婦健診で赤ちゃんの体重について懸念点を伝えられたことはなかったのですが、38週で予定帝王切開で生まれたわが子は2186gと少し小さく、『念のためGCUに入院してもらいますね』と言われてとまどいました。実際に赤ちゃんは4日程度を、同じ産院内にあるGCUで過ごし、その後一般病棟に移って母子同室となり、通常の日数内で退院しました。その後、娘はなんら問題なくすくすく成長していますが、今でも『あのGCUの4日間は何だったんだろう、今後のこの子の成長において、何か留意しておくべき点があるのだろうか』という疑問がときおり頭をかすめます」。都内に住む小学2年生の女の子のママ、Aさんは8年前の出産を振り返り、このように話します。

 このAさんのように、「妊娠中の健診では異常を指摘されていなかった場合でも、生まれた赤ちゃんが標準的な体重・身長よりも小さく、GCUでケアを受けることになるケースもある」と、長年新生児医療に携わってきた首里京子さんは解説します。

 「胎児の推定体重は、超音波検査で児頭の横幅・腹囲・大腿骨の長さをもとに算出しているものであり、誤差が生じることがあります。体重が2500g以下で生まれる低出生体重児の割合は全出生数の約10%で、ここ数年は横ばいの傾向にあります。赤ちゃんが小さく生まれてGCUでケアを受けるのは、決して珍しいことではないといえるでしょう」

 「NICU」と比べて、「GCU」はあまり聞き慣れず、知られた存在ではありません。一体、どういう場所で、どんな赤ちゃんがそこでケアされるのでしょうか。また、生まれたわが子がGCUに入ったり、これから入ることになる場合、親はどのような点に留意すべきなのでしょうか。前後編で具体的に解説してもらいます。

「GCU」は何する場所? そこでケアされる赤ちゃんとは?(画像はイメージ)
「GCU」は何する場所? そこでケアされる赤ちゃんとは?(画像はイメージ)