小学生の頃は、図書室へ通って端から端まで読破。マニアックなものまで読み込みましたね。その頃から何でも自分で調べる癖がついたと思います。

 習い事も、自分でやりたいと言ったものは何でも挑戦させてもらいました。ピアノ、フィギュアスケート、英会話、習字、水泳、囲碁、野球……。やってみて自分に合わないものは半年~1年で辞めましたが、ピアノや英会話、習字は10年以上続けました。それは、親からは「自分からやりたいと言ったのだから、成果を出すまでは自分から辞めるとは絶対に言ってはいけない」と言われていたから。自分の意思を尊重してくれる分、やり続けることを求められましたね。

パソコンをはじめるようになり、集中力、自発性、論理的思考が養われた

── 子どものころからパソコンに親しんだことで、どんなメリットがあったと思いますが?

 パソコンをはじめるようになってからは、さらに知的好奇心が刺激され、世界が広がりました。

 自分の好きなことを好きなだけやれる環境だったので、ゲームに夢中になった時期は、1日何時間もゲームをすることもありました。そこで、問題設定を解いていくことや、1つのことに集中できる回路ができあがったと思います。

 学生時代に語学を勉強していたときは、オンライン辞書を活用。留学するときも、代理店を通さず自分で手配するなど、興味を持ったことや疑問に思ったことは、自分でインターネットを使って調べれば分かるし、スピードも早い。わからないことは自分で探しにいく、という習慣ができましたね。

 プログラミングを通して、論理的思考も身に付いたと思います。カンマが1つないだけで動かない世界なので、トライ&エラーを繰り返す練習になりました。

 何よりもパソコンを通して自分の意思でいろいろな世界を知ることで、自発的に選択できるようになりました。それによって、学生時代に自分が好きで得意なものを見出すことができ、いまの職業につながっていると思います。子どもの頃からパソコンにふれていて、悪かったと思ったことは一度もありませんね。

ITリテラシーが求められる時代に、パソコンを与えないのは不利

 いまはメールやインターネットはもちろん、自分のホームページの作成や演奏会などのチラシ作成、動画・写真の編集など、日々の生活にパソコンは欠かせません。

 マイクロソフトのOfficeソフトでは、Wordで演奏会などのプログラムを作ったり、Excelでコンサートの収支計算をしたり。音源を仲間に共有するときは、オンラインストレージを使うとみんなで同じファイルを見ることができるので、架空の机があるような感覚で便利です。テレビはなくてもいいけれど、パソコンがないと生きていけません(笑)。

 今後小学校でプログラミング教育が必修化されるなど、ITリテラシーが求められる時代に、あえてパソコンを与えないのは不利だと思います。最低限のモラルや金銭のルールなどは、一緒に話し合いながら決めた上で、パソコンの善し悪しがわかるまでどっぷり浸かったらいいと思います。