「寄付では立ち行かない」と反発も 英国では毎年5億円が集まる

―― こどもホスピス設立に当たって、困難はありましたか。

田川 反対意見も聞こえてきました。看護師などの専門職を雇い入れ、運営を続けるには継続的に多額の費用がかかる、寄付任せではいずれ立ち行かなくなると言うのです。結局、反対を押し切る形で計画を進めざるを得ませんでした。私のような素人が何も分からずに活動して来たからこそ、ここまで来れたのかもしれません。

―― 他の国では、こどもホスピスはどのように運営されているのでしょうか。

田川 国によって違います。イギリスでは政府からの補助金はほとんどありませんが、遺族らによって40を超える施設が運営されています。そして地域に根付いた寄付文化が、それを支えています。

 12月に英国の施設を視察し、寄付集めのイベントに参加しました。地域住民が500人ほど正装で集まり、オークションで「従業員の給料を1カ月間分支払う権利」などを落札するのです。その日だけで1500万円くらい寄付が集まりました。この団体はイベントに加えてクリスマスカードなどのグッズ販売もしており、年間約5億円の収入を得ているそうです。寄付を中心としながらも、持続可能な運営ができる仕組みが確立していました

―― 5億円とはすごいですね!他の国はどうでしょうか。

田川 ドイツでは運営費の約半分に医療保険が適用され、もう半分を寄付で賄っていました。オランダは8割くらい、医療保険で運営されています。

ドイツ・デュッセルドルフのこどもホスピス
ドイツ・デュッセルドルフのこどもホスピス
オランダのこどもホスピス
オランダのこどもホスピス