「病気になったのは、あなたのせいじゃない」と患児に伝えて

―― 親が闘病中の子どもたちにすべき、最も大切なことは何でしょうか。

田川 「病気になったのはあなたのせいじゃないよ」「あなたが一番好きだよ」と伝えることではないでしょうか。

 また、はるかの様子からはいつも「家族と一緒にいたい」という強い気持ちが伝わってきました。できる限りのことをしたつもりですが、彼女があれほど望んでいたのだから、もっと仕事をやりくりして、一緒に過ごす時間を作ればよかったという思いもあります。

 子どもは重い病気と闘う間も、家族や友人に囲まれて楽しく、子どもらしく生きる権利があります。私は、はるかと過ごした経験を踏まえて、「こどもホスピス」で子どもたちの権利をサポートしたいと考えています。

取材・文/有馬知子



田川尚登 たがわ・ひさと
田川尚登 たがわ・ひさと 1957年、神奈川県横浜市生まれ。2003年、NPO法人スマイルオブキッズを設立。2008年、病児と家族のための宿泊滞在施設「リラのいえ」を立ち上げる。2017年、NPO法人横浜こどもホスピスプロジェクトを設立し、代表理事に就任。ほか、NPO法人日本脳腫瘍ネットワーク副理事長、一般社団法人希少がんネットワーク理事、神奈川県立こども医療センター倫理委員を務める。著書に『こどもホスピス 限りある小さな命が輝く場所』(新泉社)