夫婦の7割が離婚 きょうだいのケアも重要

―― ご夫婦はどのように、病気に対応しましたか。

田川 私が情報を求めて奔走し、治療方針を決めるときは妻と話し合って、意見をすり合わせるという感じでした。

 子どもが不治の病を抱えたとき、夫婦の7割くらいは離婚してしまうというデータがあります。夫婦ともに精神的に余裕がなくなり、お互いを責めてしまうせいもあるでしょう。だからこそ、親を支援する場所が必要なのです。

 子どもが亡くなったとき、夫婦の閉じた関係性の中で対処しようとするのも得策ではありません。遺族会や「こどもホスピス」など、第三者のいる場で心情を吐き出すことで、気持ちが楽になることもあります。それによってパートナーの気持ちも思いやれるようになるのです。

―― 3つ上のお姉ちゃんはどのような様子でしたか。

田川 はるかの意識が無くなってから、初めて真実を知らせました。姉は「どうしてもっと早く言ってくれなかったの!」と泣いて怒りました。妹に何もしてあげられなかったと、悔いが残っただろうと思います。申し訳ないことをしました。

 姉妹がおもちゃを取り合うのを見て「はるかは病気なんだから譲ってやって」と姉に我慢を強いたこともあります。親はどうしても患児に手を取られがちですが、きょうだいと過ごし、愛情を伝える時間も確保すべきです。

 愛情不足のまま成長したきょうだいが「自分が負の感情を抱いたから、あの子は死んでしまったのかもしれない」などと自責の念に駆られ、自傷行為や非行に走る例も少なくありません。きょうだい児のケアも、「こどもホスピス」の重要な役割です。

放射線治療後、お姉ちゃんと一緒に(写真提供/田川さん)
放射線治療後、お姉ちゃんと一緒に(写真提供/田川さん)