「うちの子、算数が苦手で」「受験もあるのにこのまま算数嫌いになったらどうしよう」。そんな悩みを持つママ・パパも多いでしょう。でも、「算数嫌い」にならない方法があります。それは日常生活であるマジック・ワードを使うこと。「数に強い子」に育てるための親と子のコミュニケーション方法について、『数学女子 智香が教える 仕事で数字を使うって、こういうことです。』(日本経済新聞出版)などの著書もあるビジネス数学教育家の深沢真太郎さんに聞きました。

数字を使いこなすワザをビジネスパーソンに伝授

編集部(以下、――) 深沢さんは「ビジネス数学教育家」という聞き慣れない肩書きですが、具体的にはどんな仕事ですか?

深沢真太郎さん(以下、深沢) ごくカンタンに言えば「『数字』を使いこなして成果を出すビジネスパーソンになるための方法」を教育・指導しています。企業の依頼を受け、若手社員や組織の中核である管理職を対象にした研修を実施することが多いですね。

 参加者からは「予想していた内容と全然違いました」「その後、プレゼンの採用率が上がりました」という感想を多くもらいます。理系の難しい勉強をさせられると思うようですが、私は、働く人にとって数字で考えること、数字で語ることがなぜ重要なのかを、具体例で説明しています。

とんがった部分が自信となった小学生時代

―― そんなふうに「数字」を仕事にする深沢さんは、そもそも何がきっかけで「数字」が好きになったのでしょうか?

深沢 ずばり「時刻表」です。小学生の頃から電車の時刻表を見るのが大好きでした。例えば、東京から鹿児島まで電車で旅行するとしたら、どうやって行こうと時刻表を見ながら頭の中で「数字の旅」をするのです。父親が推理小説マニアで、松本清張や西村京太郎などの時刻表のトリックを使った本が家にいろいろあって、その影響があったのかもしれません。

―― では、算数の成績もよかった?

深沢 算数・数学は、ぶっちぎりに得意でした。ほかの教科はまるっきりダメでしたが(笑)。いい点数が取れる教科がひとつでもあるのは、子どもにはとてもよいことだと思います。それが自信につながる。私の場合は算数でしたが、「クラスで一番足が速い」でもいいですよね。

 ママ・パパには、子どものとんがったところをどんどんほめてほしいと思います。欠点を直すのではなく、長所を伸ばすことがとても大切。管理職の研修でも、ほんの少しほめられただけで皆さんすごくうれしそうな顔をなさいますよ。大人だってほめられればうれしいのですから、子どもだったらなおさらです。