「数が苦手な人」はこの世にいない!?

―― 小さい頃から「数字(数)」も「算数」も得意なんてうらやましい。私もそうですが、大人でも苦手という人が多いので……。

深沢 数字(数)が嫌いな人はこの世に1人もいないと思っています。例えば、サッカーファンなら試合のスコアはもちろん、得点時間、ボール保有率、選手の平均年齢などたくさんの数字を駆使して熱く語りますよね。好きな俳優が出ているドラマの視聴率をチェックする人は多いでしょう。子どもも、お小遣いでゲームソフトを買うにはあとどれだけお金をためればいいのか、一生懸命、計算するはずです。これはすべて数字(数)に関わることです。

 それなのに、算数や数学の問題を解くとなると「無理! 苦手!」となってしまう。大人になってもそのままで、数字で考えることができないと思い込み、数字を拒否する人が多いのはとても残念です。でも実は、子どもの「数が苦手」という意識は、親の話し方次第で変えることができるんです。

マジック・ワードは「どれくらい?」

―― えっ、そんなことができるのですか? どんな話し方をすれば、子どもが「数」が好きな子になりますか?

深沢 例えば、お子さんが「みんなゲーム機を持っているから買ってほしい」と言ってきたとします。このとき、「みんな持っていると言うけれど、どれくらいなの?」「クラス34人のうち何人?」と聞いてあげてください。すると、「34人のうち17人だったら何%なの? 2分の1でしょう。それは『みんな』って言えるかなあ」と会話を進めることができます。「みんな持っていると言うけれど、持ってない子もいるんでしょう」では、数で考える子(=数に強い子)は育ちません。

 ポイントは「どれくらい?」と聞いてあげること。そうしたらお子さんが数で答えることができます。どんな会話でも必ず数字を入れる――私はこれを「数会話」と呼んでいます。目標設定に数を使い、その目標が達成できたら、これ以上ないほどほめてあげてください。

[数に強い子を育てる親子コミュニケーション例1]

×の会話
子「今日の国語テスト、けっこう頑張ったよ」
親「へえ、すごいじゃない」
子「うん」

○の会話
子「今日の国語のテスト、けっこう頑張ったよ」
親「けっこうってどれくらい?」
子「えっと……」
親「100点満点のうち何点なら頑張ったことになるのかな?」

[数に強い子を育てる親子コミュニケーション例2]

×の会話
子「今日は昨日より算数をがんばる」
親「ほんとうに?」
子「うん」

○の会話
子「今日は昨日より算数をがんばる」
親「昨日と、どれくらい違うの?」
子「えっと……」
親「じゃあ10問を昨日より何分早く終わらせられるかな?」