国際教育到達度評価学会(IEA)は2020年12月、小学4年生と中学2年生の児童生徒を対象に実施した「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS)の2019年の結果を公表しました。TIMSSは1995年から4年ごとに実施しているもので、各国の小学生や中学生の算数・数学、理科の到達水準や子どもたちの学習意欲を測る調査です。調査結果とともに、DUALが過去に掲載した中から、子どもが「算数・理科」を楽しく学べるノウハウ記事を紹介します。

TIMSSの概要
・参加国
小学校は58カ国・地域、中学校は39カ国・地域
・日本からの参加者
小学4年生約4200人(147校)、中学2年生約4400人(142校)
・調査時期
2019年2月から3月に実施

日本の初等、中等教育の「算数・理科」の水準は国際的に見て高いが…

 2019年のTIMSSの調査結果において、日本は算数・数学、理科、いずれの教科でも高い平均点となりました。小4の算数の平均点(以下、すべて平均点)は593点と58カ国中で5位、中2の数学は594点と過去最高を記録し、39カ国中で4位になりました。理科については小4は562点で4位、中2が570点で3位となりました。

 算数・数学、理科ともに平均点は高かった一方、学力と同時に調査した「学習の意欲」に課題が見られました。

 学習に対する意欲を尋ねる調査では、「算数・数学の勉強は楽しい」と答えた割合は小4が77%(国際平均84%)、中2が56%(同70%)でした。

 理科については、「理科の勉強は楽しい」と答えた小4は92%(同86%)と国際平均を上回ったものの、中2は70%(同81%)と下回りました。小学校では理科を楽しんでいる子どもが多い一方、中学校になると理科への意欲が低下する子が増える傾向が見て取れます。

 子どもの算数・理科への意欲を高め、継続するためには、どんなことが大切でしょうか。今回は、算数・理科を子どもが楽しむために家でできることや、親の関わり方などを盛り込んだ記事を集めました。未就学児から取り組める内容もあります。ぜひ、参考にしてみてください。

子どもが算数を好きになる

数・形への興味と思考力を育む「算数絵本」10選


個別指導塾の算数講師を経て、現在は「幼児さんすう総合研究所」の代表を務める大迫ちあきさんに、算数への興味をかき立てる絵本の選び方や楽しみ方を教えてもらいました。記事後半では、大迫さんおすすめの未就学児向け・小学生向けの絵本も紹介しています。


子どもの数学的感覚 未就学児から外遊びで養う


数学的な感覚を養うのに、特別なことは必要ない――。夫婦で外資系コンサルティング会社に経営コンサルタントとして勤めながら、副業として、知育玩具・幼児教育サービスの会社を立ち上げた花岡直毅さんと花岡愛子さんはこう話します。3人の未就学児を育てる夫妻に、自分たちの子育てで実践していることを聞きました。


低学年から算数得意になるコツ 渋滞学の考案者語る


「人は、知りたい、解決したいという思いが強いほど、頑張って考えます。ですから、算数嫌いの子にいきなり計算ドリルを解かせるよりも、算数を自分ごととして捉えて、『ちょっとやってみようかな』『やらなきゃまずいかな』と思わせるようなきっかけづくりが必要です」。東京大学教授で「渋滞学」を考案した西成活裕さんに、小学生の算数で、おすすめの家庭の習慣について聞きました。


「数学の庭」を豊かに育てることで学びが深まる


算数がよくできる人に対して、「あの人は数学的なセンスがある」と言ったりします。算数ができる人、できない人にはどんな違いがあるのでしょう。幼い頃から算数・数学が得意で、小学校時代には算数オリンピックに2大会連続で決勝大会に進出した数理学習研究所の小田敏弘さんは、「大切なのは、子どもが自分の中にある『数学の庭』をどうやって豊かに育てていくかです」と話します。


絵本や「体験」で理科の基礎を楽しく学ぶ

「科学絵本」おすすめ11選 動植物や宇宙の不思議


動植物や宇宙などをテーマにした絵本を選ぶと、本の世界を楽しみながら、自然に子どもの科学への好奇心も育むことができるかもしれません。図書館などで年間270回の出前講座の実績を持つ科学読物研究会の坂口美佳子さんに、「科学絵本」の選び方や楽しみ方を教えてもらいました。記事後半では、坂口さんおすすめの未就学児向け・小学生向けの科学絵本も紹介します。


科学への好奇心育む 入学前からできる理科実験5選


子どもには将来、理系が得意な子になってほしいが、どうしたらいいのか分からない。そんな未就学児の親に向けて、理科実験教室アインシュタインラボ代表の北原淳さんは、子どもが「理科って楽しい」「好き」という気持ちを持つことが何よりも大切と話します。理科へのポジティブな気持ちを育む、未就学児からできる理科実験5つを教えてもらいました。


立体的なイメージをつかむと天体が得意になる


中学受験の理科入試によく出題される「天体」。大人の感覚からすると、月や星にはロマンがあるから、子どもたちの興味・関心も高いと思いがちですが、実は「天体が苦手」という子は多いそう。中学受験のプロ・辻義夫さんに天体に強くなるコツを教えてもらいました。


湖に行った翌日に海水浴 「遊び・学び」医師ママの工夫


理科の素養を磨くには、自然体験が大切だと聞くけれど、どうすればいい? 体験するだけでいいの? こう疑問に思う人もいるでしょう。記事では未就学の男の子2人を育てている医師ママのKさん(35歳)に、どのように体験を深め、そこから得る子どもの学びをどのようにサポートしているのか聞きました。


 子どもが算数・理科好きになるためのノウハウを盛り込んだ記事を紹介してきました。冬休み、子どもへの教育をじっくり考える際に、ぜひご活用ください。