プレママ・プレパパ社員にも良さを知ってもらいたい

これまでの常識が崩れて変わっていく
これまでの常識が崩れて変わっていく

佐藤 これまでメリットについてお聞きしましたが、逆に困ったことなどはありますか?

長野 チャットやビデオ会議もしますが、相手側、つまり会社にいる側の人からすれば、私が今、何をやっているのか分からないので、チャットで話しかけるタイミングが分からない。遠慮されてばかりだと業務上良くないので、作業中はこちらからなるべくチャットで話しかけるようにしたりするなど、気を使うところはありますね。

植田 私は困ったことが本当にないので、誰もがテレワークできる環境になればいいなあって思っています(笑)。妊娠中の通勤は負担も大きかったのですが、通勤がないと往復2時間かかるところを家事に充てることもできますし、体力を温存できるので仕事の生産性も上がります。

 ただ、人事の仕事をする側からすると、課題もあります。テレワークの制度をスタートしても、利用しているのはほとんどが子育て中の女性社員です。私は第1子の出産前から週1で利用してきて、子育てをしていなくても家のほうが集中できて効率的に仕事ができました。

 プレママ社員やパパ社員にも積極的に利用してもらうようになるには、もっと体験する機会を増やしていかないといけないと思います。そして、テレワークの良さを知っていただく。利用促進できる機会を提供することで、この制度を広げていきたいと思います。

これからの時代に合った働き方とは?

佐藤 テレワークの普及などITの進化や働き方の多様化によって、仕事とプライベートの境目が曖昧になりつつあると感じます。毎日の生活のなかでどう働くのか、どう生きていくのかということをそれぞれのライフステージに合わせて自分で調整していかないといけなくなってくると思います。そういった時代のなかで、皆さんはどういう心がけが必要だと感じていらっしゃいますか?

長野 自分のなかで大切にしたい時間が人それぞれにあって、私の場合は子どもと食事をする時間がそうだったと改めて思いました。食事はコミュニケーションの場でもあるし、子どもの体調の変化も分かる。日々の子育てのベースになるものだと思っています。私にとっての大切にしたい時間を、復職してからも諦めなくてもいいと感じました。

 会社の制度を使うことで諦めないで働ける選択肢が増えているので、うまく選んで使っていけるようにしていきたいですね。大切にしたい時間を自分で理解しておけば、方法は必ず見えてくるのではないかと思っています。

植田 仕事も子育ても家事もすべて自分でやろうと思わないで、「どうやったら、やりたいことができるのか」と考えるようにしています。ちょっとカッコ良く言えば、自分のお手本になるロールモデルや働き方がないのであれば、それは自分で作っていけばいい、と(笑)。

 すべてをこなそうと思っても、時間は限られています。ならば、家事代行サービスをお願いするとか、ロボット掃除機を購入するとか。外部にお願いできることはお願いして、自分にしかできないことをやるようにすることも大事なのではないかと思います。

佐藤 私も以前の会社では、子どもがインフルエンザになると1週間程度、会社を休まないといけませんでしたが、今は子どもが病気になったときは家で仕事ができるようになったというのは、本当にワーキングマザーにとってはいいことだと思っています。