これからは、パラレルな働き方がいい

佐藤 パラレルな働き方が今後、増えていくといいなあとお考えですか?

高橋 僕はNPO法人を立ち上げましたが、いろんな業種のパパが集まっているので、刺激になりますよね。そういう意味では、NPO法人ではありますけれど、スーパーダディ協会と本業のパラレルな働き方になることで、心も安定しているといった感じですね。

 スーパーダディといえども、家事・育児や仕事のことで悩みもあるので(笑)、悩みをパパ同士で打ち明けてスッキリする。ママ同士はそういうことは得意ですが、パパ同士は苦手だったりしますから。本業とスーパーダディのどちらかで行き詰まることがあると、どちらかで悩みを発散できる。パラレルな活動をしているほうがバランスが取れていいのかなっていう気がしています。

 もしかしたら、これからの若者たちは副業が認められて、2つの会社に属する。在宅勤務する日もあれば会社に行く日もある。それで、生産性も落ちないでうまく働ける時代が来るといったこともあるかもしれないですよね。

佐藤 政府が年度内に副業容認するような動きもありますから、正社員として複数の会社に属して働くことが今後、スタンダードになっていく可能性もあると思います。

 私も今、ベンチャー企業でPRマネージャーと、「ママプラ」というママ向けメディアのディレクターを兼務しつつ、本業以外にボランティアで「パワーママプロジェクト」の広報も担当しています。第3子が1歳になるまでは大手メーカーの広報担当だったのですが、キャリアの幅を広げるために転職しました。

 ママプラはママ向けメディアということで、中で働く人が幸せな働き方を実践しないといけないと思いました。しかし、うまくアウトプットができなくて、半泣きになりながら夜中に調べ物をしたり、遅れているタスクをこなしたりという日々が続いていたんですね。

 そんなときに、当時の上司に「そんな働き方をしていたら誰も幸せになれないよ」と指摘された。とにかく生産性を上げるようにしようということで、ITツールを活用しながら生産性を上げる意識改革を図ろうと、一つ一つ整理することにしました。

 PRマネージャーと編集の兼務ですから、どうしてもマルチタスクになりやすい。それまでタスクメモ帳やふせんで管理していたのですが、タスク管理アプリを使うようにして、チームメンバーに情報を開示することで私が今、どういう仕事をしていてどんなステータスにあるのか共有できるようになりました。結果、周りとのコミュニケーションもスムーズにいくようになったんです。

 以前の職場では最終的に判断を仰ぐ場面では対面でやるものだというのが常識でしたが、今の会社ではチャットでいい。このように、働き方もこれまでの常識が崩れていって、変わっていくのではないかと思っています。

テレワークによるメリット&デメリット

佐藤 オプトの植田さんは人事部門の業務に携わっておられて、現在、妊娠9カ月。ご主人は単身赴任中で産休間近ということですが、テレワークを実践されています。通常勤務のときは朝7時半に家を出て、8時半から業務開始。テレワークの日はお子さんを保育園に送った後に家事をする時間ができるんですね。

オプト・植田さんのスケジュール

植田恵子さん(以下敬称略) 通勤時間がない分、家事をすることができます。通常勤務の日はおばあちゃんに手伝ってもらっていて、私は帰宅してから1人で晩ごはんを食べるのですが、テレワークの日は子どもと一緒に晩ごはんを食べることができます。

 食事は日々の生活の基本だと思っているので、できるなら子どもと一緒に食べたいところですが、どうしても定時に帰れないことも多い。なので、おばあちゃんにお願いしていて、子どもの夕飯は決まった時間に済ませてもらうようにしています。

佐藤 オプトではなぜ、テレワークの制度を導入しようということになったのでしょうか?

植田 当社はもともと、社員の成長意欲を大事にする文化がありまして、働く環境やチャレンジするための環境整備に力を入れています。制度の導入は早いほうで、2013年からテレワークを導入しています。今年になって制度化されて、正式に利用できるようになりました。

 会社としては生産性が上がるのであればどこで仕事をしても問題ないといいますか、結果がすべてという考え方。働く環境はどこでもいいので、よりパフォーマンスを上げられる場所であればいいということですね。

 私自身の例で言いますと、自宅にいながら沖縄支社と東京本社でテレビ会議をしつつ、共有ツールで議事録を取るといったこともできます。そういった感じでフレキシブルに働くことができています。