父親の積極的な育児・家事の参画を目指し、父親の意識改革を目標に実践的な活動をするNPO法人「スーパーダディ協会(SDA)」。同協会は“仕事と家事・育児の完全両立を目指し、熱く生きる父親”に贈る「スーパーダディアワード2017」を創設。その第1回目に選出されたのが、Jリーガーの大久保嘉人さん。

 2013~2015年に史上初の3年連続Jリーグ得点王という快挙を成し遂げ、あの三浦知良選手を抜いてJ1リーグの最多得点の記録も樹立。Jリーグ史上最強と評されるストライカーでありながら、4人の男児の父親として育児にも積極的だ。

 2015年、妻が流産をきっかけに胞状奇胎であることが分かり、さらに奇胎後HCG存続症と診断された。抗がん剤治療によって髪の毛が抜けるかもしれない妻を勇気づけるため、3人の息子と共に丸刈りにしたというエピソードが話題となった。そんな家族思いの大久保嘉人さんに、仕事と家庭のワークライフバランスや子育てなどについてお話をお伺いしました。

プレーはおとなしくなっても、心のなかでは“悪童”

—— 仕事も育児もバリバリこなし、仕事と育児・家事の完全両立を目指し、熱く生きる父親に贈る「スーパーダディアワード2017」を受賞されたそうですね。率直な感想をお願いします。

大久保嘉人さん(以下、敬称略) こんな賞を頂けるなんて、素直に嬉しいです。しかも栄えある第1回目の受賞ですからね。スーパーダディ協会の活動内容に賛同しましたし、自分もこれからスーパーダディとして精進していきたいと思います。

—— お子さんが生まれる前までは、激しいプレーが多く“悪童”と呼ばれることもあったと思いますが、家庭では普段、どんなパパなのでしょうか?

大久保 確かに、ヤンチャなプレーが多かったですからね(笑)。でも、今は子どもたちが学校で友達に何か言われるとよくないので、ずいぶんラフプレーは減ったと思います。子どもたちのおかげで変わったと思います。でも、自分がいっぱいレッドカードをもらったことを子どもたちは見たことないはずなのですが、ユーチューブに動画が流れているので、知っているみたいですけどね(笑)。

 とはいえ、おとなしいプレーばかりになってしまうと自分の持ち味が発揮できなくなりますから、熱い気持ちだけは忘れないようにしています。そういう意味では、心のなかではまだまだ悪童ですよ(笑)。

 家庭ではどんなパパなのかというと、ひと言で言えば「友達のようなパパ」ですかね。自分の父親がそうだったので、同じように子どもたちと接しています。

つがいで子育てをするワシをモチーフにしたトロフィーが授与された
つがいで子育てをするワシをモチーフにしたトロフィーが授与された

大久保嘉人(おおくぼよしと)
現在、35歳のJリーガー。長崎県立国見高校3年生時に高校三冠を達成するなど大活躍。2001年、セレッソ大阪にてプロキャリアをスタート。その後、2006年にスペインリーグのマヨルカに移籍し、ヴィッセル神戸やドイツのヴォルフスブルクを経て帰国。再びヴィッセル神戸を経て川崎フロンターレへ移籍後、現在はFC東京でプレーしている。2010年と2014年のW杯では日本代表に選出されたほか、2013〜2015年にかけてJリーグ史上初の3年連続得点王になり、J1最多得点記録も持つJリーグ最強のストライカー。現在、4人の男児の父親で、育児にも積極的な子煩悩パパとしても知られる。2015年には、妻が奇胎後hcgと診断され、抗がん剤治療を行う際に髪の毛が落ちる心配があったことから、元気づけるために息子3人と共に丸刈りになったエピソードが話題となった。家族を大切にする熱き父親として評価され、スーパーダディ協会主催「スーパーダディアワード2017」を受賞した。

ケンカはやり過ぎない程度にドンドンやれ

—— 奥様は無事に病気を乗り越えられて、今年3月には無事に四男を出産されたそうですね。全員、男の子ということですが、どんな感じなのでしょうか?

大久保 子ども同士、毎日ケンカしています(笑)。長男と次男がケンカしていて、終わったと思ったら、次は次男と三男がケンカして……。それが終わったと思ったら今度は三男と長男がケンカ。そんな感じでずーっとケンカが絶えないですね。子どもたちは毎日、妻に吠えられています(笑)。

 そんな状態なので大変ですが、父親としては男同士で毎日が本当に楽しいですね。男ならケンカもやり過ぎない程度であれば、「ドンドンやれ!」っていう感じで見守っています。四男はまだまだ幼いですが、参戦するようになったらどうなることやら、です(笑)。