目指すべきは、みんなが「これでいいのだ」と思える未来

スー 今、私がラジオでいろいろな人の相談を聞いていてひとつ思うのが、悩みや相談って、ものによっては専門家でないと解決できないということです。権威とまではいかなくても、その道のプロみたいな人に話を聞いてもらうことって実はすごく大事で。ファーストステップとして、悩みの開示や共有、共感はとても大切。相手を選ぶので、最初から専門家の扉を叩くのは難しいですよね。一方で、次のステップとして、その先に何があるのかをちゃんと提示しないと、「分かる!」で終わっちゃって根本的な解決にならないのではないかと。

変わらなきゃいけないのが社会の方だとしたら、私たちはどう働きかけられるのか。少し、専門家の話を聞きたいところです。私は、女性の働き方に関する相談には、ベティ・L. ハラガンの『ビジネス・ゲーム』をすすめているんですが、「こういう社会が理想です」じゃなくて、「今いるジャングルの地図はこうで、どこにどういう動物がいて、開拓してこういう風にしたいけど、現状ここで生きていくために必要なのはこれです」っていう話をしてくれる人が少ないのは、日本の大きな問題だと思いますね。

村上 世界的には、プロフェッショナルな方の大多数がリンクトインのアカウントを持っているので、そういうインプットは豊富です。まさにおっしゃった通り、そこに専門家やモデルケースがいるから自分で次のステップにつなげていけるんですよね。残念ながら日本ではまだそこまでに辿り着いていないのですが、そこが私たちの目指すところです。

今リンクトインを活用いただいている方々は、社会における個人と組織のフェアな関係性や多様性の重要さに意識的な方が多いので、今後活用すればするほど自分のキャリアと考え方が深まり、マッチングも生まれてくると思っています。

スー 自分の能力不足や家族の無理解を超えて、変わっていかなきゃいけないのは、社会であり会社の方だという意識をどうコミュニティ内で共有できるか。個人の努力とか工夫の範疇は、もう超えている問題だと思います。個々人の話を有機的に回していけるのは、その後かなと。今、世の中の女性が必要としているのは、悩みの形を正しく描写するためのノウハウ。その提供が大事なのかもと、相談を請け負う立場としては思いますね。

村上 背景から説明する機会が圧倒的に不足しているというのはおっしゃる通り。我々も、記事やインタビューを通じてそうした情報をなるべく表に出すようにはしているんですが、もっともっとやらなきゃいけないですね。

最終的には、働くすべての人が「これでいいのだ」と思えるようになれたらいい。リンクトインは、そのためにみなさんが気持ちと頭の整理ができる場所、また働くことに関する様々な悩みを消化していく、ろ過装置のような存在になれるよう、頑張っていきたいと思っています。

スー 私もラジオや執筆で頑張ります。

働く女性が安心してキャリアを相談できる場所「リンクトイン」のワークショップ#ワタシゴトーク
 リンクトインでは、今回の調査結果を受け、有志の社員が参加し、リンクトインユーザーとともに自分らしく働くことに関する悩みを共有、参考になったことを話し合うコミュニティを作るための女性向けのオンラインワークショップを開催しました。平日昼の慌ただしい時間帯でしたが、計42名の方が参加し、リンクトイン社員と共にそれぞれの「ワタシゴト」について語り合いました。

 実際に参加した方からは、「様々なバックグラウンドの方が、同じテーマに興味を持たれていると分かり心強かった」「同じような思いを持ち、言える場がないと感じている方が多いということが分かりました。発信するというハードルは思った以上に高いと感じました」といったコメントが寄せられました。今後もリンクトインでは定期的に「ワタシゴト」ワークショップを実施する予定。リンクトインのアカウントを持っている人は、言語設定を日本語にした上で、「#ワタシゴト」をフォローしてみては?

●「ワタシゴト」とは、私が「これでいいのだ」と思える、「私らしい仕事」のこと。以前は仕事の際に公私を分けるのが当然でしたが、現在では、仕事はその人の人生の一部分であり、切り離して存在できるものではないという考え方が浸透しています。

●過去に開催されたワタシゴトLIVEの動画(リンクトインにログインの上ご覧ください)
・ワタシゴトLIVE平野未来さん(AI時代の「自分の価値」)はこちら

・ワタシゴトLIVE薄井シンシアさん(「自分ごと」で広がるソーシャル時代の仲間づくり)はこちら

・ワタシゴトLIVE鈴木祐美子さん(専業主婦だった私が見つけた「自分らしい発信」)はこちら

取材・文/鈴木友紀 写真/佐々木実佳