「プログラミング的思考」は、生きるうえでの知恵や判断力につながる

 プログラミングを学ぶことの最大の利点、それは論理的思考を育むことだと白石先生は言います。

 例えば、竹内君は課外授業の中でApple社のiPad専用アプリSwift Playgroundsを使ったプログラミングを行っていました。このアプリは自分で実際にコードを打ち込み、試行錯誤をしながらキャラクターを動かすもの。これは子ども向けプログラミングツールとしてよくある、指示が書かれたブロックを並べ替えるシステムとは異なり、実際に自分の頭で、コードを組み立てプログラミングを行う必要があります。

 「子ども向けのプログラミングツールとしてよくあるのが、ブロックコーディングです。『スクラッチ』などが人気ですね。とても分かりやすくて初心者にはいいでしょう。しかし、竹内君のようにアプリを作ってみたいという目標がある場合、Swift Playgroundsのように、自分でコーディングをする機会を持つことで、実際のコードが書けるようになる準備段階としてはとてもいい勉強になります。英文字を打つということも、経験になります。そして何よりプログラミングを通じて試行錯誤をすることで、考える力が自然な形で身に付くのです

 白石先生は、プログラミングに興味がない生徒に、高いコーディング技術を早くから教える必要は必ずしもない、と考えています。しかし同時に、プログラミングを学ぶことは、その子にとって、プログラム的思考=論理的な思考を身に付ける大きな手助けになる、とも言います。

 「誰もがプログラマーを目指すわけではありませんが、プログラマーになるためにプログラミングを学ぶわけではありません。プログラミングを通して何を学ぶかというと、やはり試行錯誤です。勉強の方法、考え方、どうすれば課題が解消されるか、ということを自分の頭で考えることは、学習だけでなく、人生にも役立ちます

 実際、先生や同級生と意見を交換させながら、プログラミングをしていく竹内君がしていることは、次のようなことでした。

  1. 仮説を立てる
  2. コーディングをする
  3. 実行する
  4. 課題を見つけ修正する
  5. 試して確認する

 これはまさに論理的思考とトライ&エラーの繰り返し。今の世の中を生きて行くうえで力になることは間違いありません。

 そしてこうした教育の機会を誰にでも与えてくれるのが、iPadのようなデバイスなのだ、と白石先生は感じています。