毎日がマリオのゲーム。リセットしてまた100%からスタートすればいい

── 常に合理的な横塚さんですが、くじけそうになったりすることはないのですか?

横塚 毎日ハッピーかというと全然そんなことはないんですよ(笑)。起きたときに、今日、仕事を休んじゃおうかなと思う日もあります。失敗もするので、反省はしますが、深刻に嘆くことはないです。

 私は毎日をマリオのゲームだと思うようにしているんです。テレビゲームのスーパーマリオブラザーズのマリオです(笑)。ゲームの中でマリオは命が3個くらいはありますよね。1回失敗してもまた復活します。朝起きたときにゲームがスタートして、夜にはゲームオーバー。一回寝たらエネルギーが100%にチャージされて、前の日の失敗を引きずらずに始めることができる

 私も毎日をこんなふうに考えているので、笑って過ごせているのだと思います。

── ストイックでありながら、楽天家でいられるような工夫もされているのですね。横塚さんの最終ゴールはどこにあるのですか?

横塚 死ぬまでにやりたいことはたくさんあるんです。この先もっと楽しく人生を生きるにはどうしたらいいんだろうということをいつも考えています。

 歳を取るのも嫌だとは思っていません。歳を取ることによって、経験が蓄積されますし、若い人よりも自信も付く。どう生きて行ったらいいかの武器も増えるはずです。毎日、毎日、今日も生きていてよかったなと思える自分になりたいですね。

── チームを引っ張るリーダー、子どもたちのお母さんとして、どう生きていきたいですか?

横塚 子どもたちによく、「何が一番大切?」と聞かれるのですが、そのときに「自分」と答えるんです。子どもたちには「えーっ そこは子どもって答えるんじゃないの」と言われます。もちろん子どもは大切です。でも子どもを大切にするための土台になるのは自分です。土台がしっかりしていないと、子どももうまく育っていかないし、チームもうまく働かないですよね。リーダーとして母として、常に正しく、情熱的であるために、常に学びを継続していきたいと思います。

── 強そうでいて柔らかいところもあり、クールに見えてとても情熱的、そして合理的なようでとても人間味がある横塚さん。その根底にあるのが会社への感謝や家族や仲間への温かい思いなのですね。学びによって得られるしっかりした土台があるからこそ、ストイックな生活を送り、進化する毎日を送れるということがよく分かりました。

セッション後の交流会では名刺交換に長い列が

 トークセッションのあとには交流会が行われました。会の冒頭では日経DUAL編集長の片野温が横塚さんのプライベートをインタビュー。「結婚14年を経てもなお、毎年夫婦だけで旅行に行く」、「子どもと一緒の時間が少ない分、朝の1時間半にしっかりおしゃべりをしている」「仕事上の大切な相談は朝話している」など横塚さん流の家族のコミュニケーション術が明かされ、参加者からは睡眠時間や子どもの習い事へについての質問が飛び出しました。

 その後はワインを片手にしてのフリートークに移り、横塚さんのお話をもっと聞きたいという参加者の皆さんが、名刺交換のために長い列を作りました。デルのパソコンを実際に使用できる日経DUAL特別企画モニター抽選会も行われ、最後に横塚さんの「皆さんからパワーをもらいました」というメッセージと共に会は終了しました。

(取材・文/日経DUAL編集部 福本千秋 撮影/辺見真也)