疲労を回復させ、すこやかさを得られるリビングの3つの条件とは

積水ハウス住生活研究所の植山生仁さん。住宅が与えてくれる「幸せ」をテーマに、「すこやかさ」など感性に関わる研究を行っている
積水ハウス住生活研究所の植山生仁さん。住宅が与えてくれる「幸せ」をテーマに、「すこやかさ」など感性に関わる研究を行っている

 住生活研究所では今、「すこやか」「つながり」「私らしさ」「生きがい」「楽しさ」「役だち」といった、数字では測りにくい無形価値をテーマに掲げ、研究を進めています。同研究所の植山生仁さんは「共働きのママやパパは疲れている人が多く、家に帰ってやっと癒されます。だから、起きている時間の多くを過ごすリビングで癒されるかどうか、すこやかに過ごせるかどうかはとても重要です」と話します。

 大阪市立大学医学部と共同で行った実験によると、リビングでの疲労回復効果は、外とのつながりの有無が影響することが分かったそうです。

リビングでの疲労回復調査
リビングでの疲労回復調査
被験者に疲労負荷をかけた後、外とのつながりがあり、景色がしっかり見えるスローリビングで過ごした場合と、一般的なリビングで過ごした場合の疲労回復を比較したところ、スローリビングのほうが疲労回復効果が高かった。縦軸の値が大きいほど疲労度は低い。積水ハウス・大阪市立大学医学部調べ

 疲労回復効果が高かったのは、外とのつながりがあり、景色がしっかり見える、次のような条件のリビングでした。

・室内の床と外がほぼフルフラットになっていて、内と外がつながっているように見える
・壁一面の大きな掃出し窓があり、外の景色を切り抜いたように見ることができる
・天井と軒の高さが同じで、庇が深く、天井が外までつながっているように見える

2階ホールの開口部は室内の床とベランダがフルフラット。天井とベランダの屋根もほぼ同じ高さなので、一続きの部屋のように感じられる
2階ホールの開口部は室内の床とベランダがフルフラット。天井とベランダの屋根もほぼ同じ高さなので、一続きの部屋のように感じられる

 「古いお寺はこうした造りになっていると思いませんか? 日本人は古来から、素晴らしい暮らしのセンスを持っていたのですね。人生100年時代の今、歴史に学び、最先端技術を取り入れた家こそが、いつまでも美しく、色あせずに残っていくのではないでしょうか」。植山さんは、人間の感覚を研究することの大切さを話します。

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