床材を変える、ラグを使う、家具で仕切るなどで大空間を使い分けよう

 日本人はもともと空間を使いこなすのが得意です。現代的な住まいに移行する前は、1つの和室で食事をし、だんらんをし、布団を敷いて寝室にも使っていました。宴会などで大空間が必要な時には、2部屋の間のふすまを取り払って使っていました。ついたてで1部屋を2つに仕切り、別の空間に見立てたり、床に段差をつけたり、床の仕上げ材を変えて、空間を切り替えることもしています。

 河崎さんはこうした日本人ならではの住み方の知恵を、新時代のリビングにも生かすことができると話します。

 「床材に変化をつけタイルやフローリングなどを使い分けると、壁がなくても空間を区切ることができ、ラグを使えば簡単にできます。抜け感のある棚や、高さの低い家具を使うと、家族の気配を感じつつもゆるく仕切ることができるので、居どころ感を感じさせることができるでしょう。床を少し低くしたピットリビングや、少し高くしたステージリビングも、空間を切り替える方法のひとつです」

ピットリビングの読書コーナー。床面が低くなっているので、家族と居ながらもひとりで集中できる落ち着き感がある
ピットリビングの読書コーナー。床面が低くなっているので、家族と居ながらもひとりで集中できる落ち着き感がある
ソファ背面の腰壁を利用したカウンターデスクはテレワークや子どものリビング学習に。メインのフロアから少し高くなっているので、別の空間のように感じられる
ソファ背面の腰壁を利用したカウンターデスクはテレワークや子どものリビング学習に。メインのフロアから少し高くなっているので、別の空間のように感じられる

 「また、人は本能的に明かりのあるところに集まりたくなるもの。食卓やソファなど、家族が集まる場所には大きめの照明を設置すると効果的です」

ダイニングのスペースはコンパクトだが、大きなシェードの明かりで家族が集まりたくなる仕掛けをしている。
ダイニングのスペースはコンパクトだが、大きなシェードの明かりで家族が集まりたくなる仕掛けをしている。

 LDKの機能にこだわらない大空間をどう使うかは、それぞれの家族に委ねられることになります。その際、「最初から使い方を決め込む必要はない」と河崎さんは言います。「最初は家具などは最小限にして、がらんどうでもいいと思います。子どもが小さいうちは、三輪車を乗り回せるがらんとした空間でもいいですし、ヨガが好きならヨガマットを敷きっぱなしにしてもいい。ただ、家族がくつろげるように、ソファやベンチ、コタツなどの居どころを作っておくといいですね」

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