より広い世界や自分の可能性について考えることも

後藤 育児をしていると、自分の素の部分が思いっきり出るし、感情があらわになりますよね。自分のことをそんなふうに見せられる相手は、一番はやはり子どもで、それが毎日続くので、自分の中に以前作っていたような壁がなくなったような気がします。仕事においてもそうだし、プライベートでもそう。例えば、近所のママ友たちと気楽に話すことができるようになりました。以前はどこか話しかけづらい雰囲気があったかも。世間が思う後藤真希のイメージをふと装ってしまう、ということは最近はなくなったように思います。

 それから、これまでよりもっと広い世界に目が向くようになりましたね。最近は、時間があるとネットで自分に合う資格を調べています。YES・NOで自分のタイプを回答していくと、意外な結果になるんです。ファイナンシャルプランナー、介護職、調理師とか。歌やダンスは自分の一部だし、ファッションやスキンケアも好きなのでその分野でプロデュース的な仕事をしたいなとは思いますが、その他に自分にできることは何かなどと考えるようになりました。自分が暮らす社会で起きていることも今まで以上に気になります。東京で待機児童が多いとか、来年秋に幼稚園保育料が無償になるニュースとか。無償化はうちの下の子は恩恵を受けられるので、ありがたいなあって。

—— 後藤さんと同じように仕事と家事育児の両立に頑張っている方々へ、メッセージをいただけますか。

後藤 子育ては本当に正解が分からなくて、自分でも「これでいいの?」と思うこともたくさんあります。保育園に預けるのがかわいそうとか、一緒にいられる時間が少ないと悩むこともあるかもしれないけれど、自分たちが知らない成長を見られることも喜びだと思うんです。小さい子って毎日が成長の連続で、色んなことを覚えてくるんですよね。そういうのを一つずつ見てあげて、ちゃんと見ているんだよっていうことを伝えてあげれば、お父さんやお母さんがいくら忙しくても子どもは安心できると思います。それは、私が母の懐の中でそうやって育ってきたということもあるので、実証済みです! 私も自分の子どもたちにそうして接しようと気を付けているし、みんなで一緒に頑張っていけたらいいなと思います!

後藤真希
 1985年東京生まれ。13歳のときにモーニング娘。の一員としてデビュー。一躍唯一無二といわれるトップアイドルに。卒業後はソロアーティストとして活躍し、現在はママモデルとして商品プロデュースなども行う。近著に、幼少期から今までを赤裸々に語る『今の私は』(小学館)。

(取材・文/日経DUAL編集部、宇野安紀子 写真/洞澤佐智子)