2020年に小学校でのプログラミング教育が必修化されるなど、DUAL読者の子どもたち世代には、義務教育の早い段階から、パソコンを自在に使いこなせるスキルが必要とされています。しかし、親としてはネットを使わせることへの懸念や、「何歳からパソコンを与えるべき?」「なにから始めたらいい?」などの疑問もあり、なかなか子どもたちに早くからパソコンを与えたがらない傾向も。

 しかし、「百ます計算」などの「陰山メソッド」を提唱する陰山英男さんは、「3、4歳からパソコンに触れさせ、5、6歳でタイピングをマスターさせるべき」ときっぱり。陰山さんはすでに、20年程前から、小学校にパソコン教育を導入してきました。陰山さんが考える、子どもたちが早くからパソコンを使いこなせるようになるメリットとは、一体なんでしょうか? 「親が与えるべきファーストパソコンの特長」「おすすめのアプリケーション」などと合わせて、詳しくお聞きしました。

子どもの脳の働きを高める、パソコンの「タッチ・タイピング」

──陰山先生といえば、小学校で早期パソコン教育をされてきた経験をお持ちです。やはりパソコンは、小さな頃から使わせるべきだと思いますか?

陰山英男さん(以下、敬称略) そう思います。東大生の2人に1人がピアノを習っていたことはよく知られていますが、これは指先を使って高速で徹底反復することで、脳の働きを高めているからです。タイピングも同じで、つまり、パソコンを使うことで「能力開発」が促されるわけです。早いに越したことはないと思います。

「百ます計算」「陰山手帳」などで知られる陰山英男さん
「百ます計算」「陰山手帳」などで知られる陰山英男さん

──陰山先生ご自身も、早くからパソコンを活用されてきたと聞いています。

陰山 教師の中では飛び抜けて早い方でした。最初に購入したのは、富士通のワープロOASYSで1986年頃です。当時はまだ、「親指シフトキーボード」で、今とはまた違ったキーボードの配列でしたが、私はどうも字が汚く、人を説得できる文書を作成できないというのが悩みだったんです。その悩みをワープロによって克服し、『こうした技能を子どもたちにも与えてあげたい』と強く感じました。その後も、ワープロからパソコンに移行し始めた1996年頃には、Windows 95で、一太郎7で作成したホームページを開設しました。

──小学校の授業に、パソコンを導入し始めたのはいつ頃ですか?

陰山 1997年頃だったと思います。転勤先の小学校に40台のパソコンが一斉導入されました。

 ただ、当時のインターネットはダイアルアップ接続で、今のようにインターネットにつながっていなかったので、NTTから電話線を借り、職員室のパソコンから視聴覚室まで電話線を引いて公開授業に踏み切りました。

ローマ字が読めなくても、「タッチ・タイピング」はできる

──学校の授業で、最先端のIT体験ができるのは羨ましい限りです。その後も、パソコン教育は続けられたのですか?

陰山 そうですね。十数年前、私が尾道市立土堂小学校で校長をやっていたときには、小2のクラスでタッチ・タイピング(手元を見ずにキーボードを打つこと)を指導しました。

──小2でタッチ・タイピングですか!? 現在のカリキュラムでも、小3でローマ字を習うことになっていますが……。

陰山 確かにパソコンはローマ字入力です。しかし、ひらがな、カタカナ、漢字を判別できる小2にもなれば、ローマ字入力なんて楽勝です。ローマ字の一覧表を横に置きながら授業をしたところ、子どもたちはあっという間にうまくなりました。まったく問題ありません。この実践をもとに中教審の委員会で、「ローマ字入力は小2でも十分可能である」と報告しました。その結果、小4だったローマ字学習が、英語学習の関係もあって小3に下がりました。

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