早坂教授によると、まず大切なのは効果的にお風呂に入るための正しい知識を得ること。健康効果を十分に引き出す正しい入浴法に関して、多くの人には誤解があるという。

 例えば、半身浴の方が体に負担がかからずに温まると言われているが「十分な温浴効果を期待する場合は全身浴の方が明らかに効果がある」。また「40℃で10分入るのがいいというエビデンスがある」(早坂教授)ものの、多くの人は自分の好きな温度で自分の好きな時間、お湯につかることが良いと誤解をしている。さらに「体をゴシゴシとしっかり洗うことも、肌には実は悪影響がある」(早坂教授)。

幸せにも、健康にも

 正しい入浴は心にもいい影響があるという。

 「毎日お風呂に入る人の方が、シャワーだけで済ます人よりも、明らかに幸福度が高いという調査結果が出ているのです」と早坂教授。2012年、静岡県と早坂教授が共同で同県に住む6000人を対象に調査した結果、毎日お風呂に入る人はシャワーだけで済ます人に比べて、1.4倍も眠りが良いと感じており、1.3倍も健康だと感じており、さらに1.4倍も幸福度が高いと感じているという。

 今回、早坂教授にインタビューした読者代表の女性2人は、企業を経営したり、子育てをしたりしながら仕事も頑張るストレスの多い日々を過ごしている。「コロナ禍で家族と一緒に過ごす時間が増えた。お風呂を通じて家族の幸福度を高められるのは手軽でうれしい」と佐藤さん。早坂教授はこれに対して「マイクロバブル入浴で、自宅をあたかも温泉であるかのように見せることで、ワクワク感やお風呂に入ったときの贅沢(ぜいたく)な気持ちが高まる」と説明。毎日のお風呂をグレードアップすることを提案した。

健康美肌をお風呂で

 空気の乾燥が激しい冬場、女性だけではなく家族全員にとって、この時期はお肌のケアが欠かせなくなる。「美容に対する効果は?」とアロマセラピストの高橋さんが特に気になっていたのはこの点。早坂教授は「お風呂の温熱作用は血流を良くし、栄養分が運ばれ肌の細胞を作る『基底層』を元気にする。この基底層が活性化されれば、新しい細胞を作る『肌のターンオーバー』が適切に起こり、肌質にも影響する」と説明。化粧品や医薬品などで肌の表面に作用させるのとは違うアプローチで、肌の奥から作用させるのがお風呂なのだ。

 なお早坂教授によれば、マイクロバブル入浴は、(1)温熱効果をさらに高める、(2)石鹸(せっけん)やボディソープなどの界面活性剤を使わなくても汚れが落とせるので皮膚へのダメージが軽減される、という肌の奥と外の両面からの作用をより効果的にすることができるという。

 「お風呂にじっとつかっていると『あまり温まっていないな』と感じる時があると思うが、それは肌の周囲に限界層という低い温度の水の膜ができるから。マイクロバブル入浴は泡の力でこの限界層を崩して、常に暖かいお湯を肌に伝えるため、温熱効果が高くなる」(早坂教授)のだ。また微細な泡は皮脂やたんぱく質などを吸着する性質を持つため、体をこすったり洗剤を使ったりと、肌に強い刺激を与えなくても汚れを除去してくれる。

公開! 早坂式入浴法

 ちなみに、早坂教授流の正しいお風呂の入り方は「40℃、10分」が基本だ。なぜなら、42℃以上では、交感神経を刺激してしまい興奮状態になる。寝つきを悪くし、血圧上昇につながってしまう。逆に38℃以下では、温熱効果が得られないため、血流の改善につながらないのだという。なお、時間は10分以上入ってしまうと、体温が上がり過ぎて熱中症(のぼせ)につながる。そして10分未満では十分に体温が上がらず、温熱効果が得られないそうだ。

 一方で「やる気」の出ないときは42℃の熱めのお湯に5分で交感神経を刺激するとよいそうだ。ただしその場合は、長くつかり過ぎないことが肝心だ。

 脱水を防ぐため、お風呂に入る前はコップ2杯の水を飲む。そしてかけ湯、半身浴から全身浴と徐々につかり、5分ほど入ったら洗体。そしてさらに5分ほど全身浴をして、じんわり汗をかいたところでゆっくり上がり、タオルで素早く水気を拭いて、お風呂から上がったらまたコップ2杯の水を飲む、というものだ。

 取材をした読者2人には、マイクロバブルバスユニットのお湯を実際に触ってもらった。「想像した以上に美しい白さのお湯」「お湯あたりが明らかに柔らかい。一番風呂に入る時の刺激が小さく、子どもも抵抗なく入れそう」と好評だ。「お風呂は毎日のことだけに、ちょっとした気持ち良さの向上、ちょっとしたストレスの低減が、生活の質をトータルで大幅に改善できそう」と、マイクロバブルバスユニットに高い期待を寄せていた。

マイクロバブルバスユニットの泡がでる様子
マイクロバブルバスユニットの泡がでる様子
「想像以上に白く、肌触りもまろやか」とマイクロバブルバスユニットを体感する佐藤さんと高橋さん。お湯につかるだけで体の汚れが取れることに高い興味を示していた
「想像以上に白く、肌触りもまろやか」とマイクロバブルバスユニットを体感する佐藤さんと高橋さん。お湯につかるだけで体の汚れが取れることに高い興味を示していた
早坂教授と日経xwomanアンバサダーの佐藤麻衣子さん(左)、高橋美穂子さん<br><a href="https://woman.nikkei.com/atcltrc/info/ambassador/"><b>≫日経xwomanアンバサダーとは</b></a>
早坂教授と日経xwomanアンバサダーの佐藤麻衣子さん(左)、高橋美穂子さん
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取材・文/丸尾 弘志

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