2019年12月に発表されたジェンダーギャップ指数。日本の順位は153カ国中121位という過去最低の結果となりました。多くの業界で女性の活躍推進が謳われているものの、実態としてはジェンダーの平等には未だ程遠い現状があります。

 そうした社会状況を踏まえ、ユニリーバ・ジャパンが展開するトータルビューティーケアブランド「LUX(ラックス)」では、無意識に生じる性別への先入観について社会に気づきを発信しながら、それを実際に取り除くアクションを起こしていく、「LUX Social Damage Care Project(ラックス ソーシャルダメージケア プロジェクト)」を開始。

 2020年度の採用活動より、ユニリーバ・ジャパンのすべての採用選考の履歴書から顔写真の提出や応募者への性別に関する一切の項目を排除し、個人の適性や能力のみに焦点を当てた採用を行うことを決定しました。こうしたジェンダーへの新たな取り組みを受け、1児の母であり、イラストエッセイスト、そして情報番組のコメンテーターとしても活躍する犬山紙子さんに、今の日本を取り巻くジェンダーの課題やこれからの女性の働き方について伺いました。

<b>犬山紙子さん</b><br>1981年大阪府生まれ。イラストエッセイスト。雑誌連載をはじめ、テレビやラジオなどでコメンテーターとして活躍中。大学卒業後、地元・仙台の出版社にファッション誌の編集者として勤務。2011年、エッセイストとしてデビュー。『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)、『アドバイスかとおもったら呪いだった』(ポプラ社)など著書多数。2017年1月に長女を出産、1児の母でもある。
犬山紙子さん
1981年大阪府生まれ。イラストエッセイスト。雑誌連載をはじめ、テレビやラジオなどでコメンテーターとして活躍中。大学卒業後、地元・仙台の出版社にファッション誌の編集者として勤務。2011年、エッセイストとしてデビュー。『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)、『アドバイスかとおもったら呪いだった』(ポプラ社)など著書多数。2017年1月に長女を出産、1児の母でもある。

男性脳・女性脳の差よりも個人差の方が大きい

―― 犬山さんが最初に就職した時のことを教えてください。

犬山紙子さん(以下、敬称略) 私は地元・仙台の出版社に就職しましたが、その時には何の疑問もなく履歴書に顔写真も貼りましたし、性別も記入しました。ただ、当時を振り返ってみても雑誌編集の仕事にまったく性差はなく、今思うと性別を記入する必要ってあるのかな? と思います。そもそも性別って男女だけで括れるものでもないですし……。でも、その方式がスタンダードになっていますよね。

「男女平等を意識する」と、口で言うことは簡単です。誰しもが少なからずバイアスを持っているため、「気をつける」だけでは平等を実現することは難しいでしょう。そうした中で、LUXは制度でそれを取り除いていくことを徹底させました。性別は下の名前でわかることも多いので、苗字だけの記入としている点にもとても“本気度”を感じます。

―― なぜ、仕事において未だ性別が重視されているのでしょう?

犬山 育休を取るのか、その後時短勤務をするのかしないのか、そういったことを性別で判断しようとしているところもあると思います。今はまだ育児は女性の仕事と見なされることが多いですから。そこから変えていかなくてはならないとも思います。

もう一つ、「男性は数字が得意」や「女性は感情的だ」といった男性脳・女性脳の違いが信じられていることも大きいのかなと思いますね。でも、現在では「男性脳」「女性脳」の存在は、脳科学的にほぼ否定されています。男女の差よりも個人差の方が断然大きいはずなのに、「女性だから、この仕事は向いていないよね」と言いくるめられそうになる……。「決してそんなことはない」と否定することが重要だと感じます。

―― ジェンダーバイアス(男女の役割に対する固定観念や偏見)が、向き・不向きを決めてしまっている側面もありますよね。

犬山 それは大いにありますね。社会全体、そして家庭環境や職場環境でつくられたバイアスの影響が大きいと思います。私自身、ジェンダーへの意識をしっかりと持っている友人と話すようになって、「女性はこうあるべき」といった様々なジェンダーバイアスを自分の中に内面化(内在化)していたことに気づきました。

女性の中にも、気づかぬうちに自分の内側にジェンダーバイアスを持ってしまい、自ら可能性や選択肢の幅を狭めてしまう人がいたり、あるいは自身の思考を停止させて、「こういうものだと思ったほうが楽」と思い込ませていたりする人もいるでしょう。逆に、「男女平等なんてまったく求めてない」「今のままでも平等だと思うよ」と振舞うことで、男性社会の中で評価を上げようする人も時折見受けられます。いずれにしても、こうしたすべての人が「被害者」だなと感じてしまいますね。

―― それぞれが自身の内側にあるジェンダーバイアスに気づくにはどうしたらよいでしょう?