プログラミングは無駄!?

 また今話題の小学校での英語の教科化、プログラミング学習の必修化についても言及。SAPIX YOZEMI GROUP共同代表の高宮敏郎氏が「英語について“4技能の向上”に注目が集まりますが、今や富士通のAIがTOEIC800点レベルに到達したという時代。ならば、その点はメカに任せてもいいのでは?」と問いかけると、お二人からも、英語のスキルを求めるかのように見える今の英語教育に、疑問が投げかけられました。

 総合的な英語の力は生きていくうえで当然必要です。ただそれは、4技能というスキルとしての言語能力ではないと感じています。違った文化を理解するうえで、言葉が必要になるということなんです」(梶取校長)

 「同感です。スキルと文化の区別はつけたほうがいいんです。翻訳そのものはAIでもクラウドソーシングでもかまわないけれど、文化を理解する、コミュニケーション能力をつけることは英語力と同等ではないんですよね」(落合先生)

 さらに、プログラミングについては「プログラミングの根幹は数学なんです。数学と物理現象に関する深い理解がなければ、プログラミングなんてやったらやっただけ悪化します」と落合先生が衝撃発言。「だってプログラミングが苦手だからって論文が書けないわけではないですから。それよりも新しい数式の考え方を作り、それを抽象化していくことが重要なんです」(落合先生)。なんならプログラミングはアウトソーシングすればいいんですからというような、さらなる衝撃発言もありましたが、梶取校長も「スキルを上げることだけが特化されがち」だと指摘。

 スキルを上げることより、体験を大事にしてほしい。今の子どもたちは、考える力があったとしても、実践する能力が落ちてきていると感じます。だからこそ本物に触らせたいと思っています」(梶取校長)

 体験こそが、自分で考える力を高め、問題解決力も高めるということになりそうです。