かっこいいパパとは?について話し合っている

えーちゃん パパ未来会議は、メンバーが今本当に知りたいこと、困っていることがきっかけでテーマが決まっていきます。良い夫・パパになるべきという世間の要請からではなくて、家庭内からアイデアが出てくることのほうが多い。一年前に開催した防災ピクニックは、ヒロシの奥さんの一言がきっかけだったよね。

ヒロシ PtoCのビジョンに「全国にかっこいいパパを増やす」というフレーズがあるのですが、「いざというときに本当に子どもを守れるのがかっこいいパパなんじゃないの? これからいつ大地震などの災害が起こるか分からないけれど、そういときにあなたは頼りになるの?」と言われたんです。それが開催のきっかけになりました。

えーちゃん かっこいいとは一体、何なのか?という議論は今までも重ねてきたよね。

シン そうだね、基準は、妻や子どもにかっこいいと認められていて、かっこいいと言われていることかな。いつまでもそういうパパでいたいし、娘には「かっこいい」と言われ続けたい(笑)。

ヒロシ 最近僕が感じているのは、逆説的にかっこ悪いことをさらけ出せることということが、かっこよさなんじゃないかなと思う。PtoCをやってますというと、「いいパパなんですね!」と言われることも多いのだけど、実際はぜんぜんダメだったりするんですよね。そういうところをありのままに伝えていきたい。例えば僕は、子どもたちは大好きだけど育児することは苦手だったり、土日の朝は起きられなくて妻や娘に何度も起こされたり、ごくたまにお風呂で寝ちゃったり……。一方で、夫としても魅力ある人でい続けたいと思っている。そういう、これでいいのだろうか?という部分や素直な願望も含めて、全部ありのままを出せるのがかっこいいということかなと思います

 これからだって、僕を含めてメンバーのだれかが離婚するかもしれないし、色々な事情でシングルファーザーになるかもしれない。それでもパパであることに変わりはない。だから、PtoCにはいろんな父親の在り方があっていいんじゃないかなと思います。

いつかはバトンタッチ パパコミュニティーは当事者が運営したほうがいい

えーちゃん 僕らは今、子どもたちが乳幼児で、ガッツリ当事者世代です。だから理事をしているけれど、育児が一番大変な時期を過ぎたら、理事は下の世代にバトンタッチすることも考えています。

ヒロシ PtoCのメーンフィールドは比較的新米で且つ未熟なパパたちが対象です。そういう人が運営も担っていった方が良いと思っています。固定メンバーが長年引っ張る組織というよりは、核としてのビジョンを共有した複数の新米パパ達が世代ごとに運営のバトンを次に渡していくイメージです。この夏に法人化しましたが、株式会社ではなく社団法人として立ち上げたのは私的なものではなく、社会にとって必要な存在の一つでありたいという意図からです。

 個人の私的な要素が強くなりすぎないように、理事報酬はゼロではないですが、あまり高くない水準で天井(上限)を設けることを議論しています。PtoCが社団法人になっても理事は全員(副業ではなく)複業、というのはそういう理由からです。

シン PtoCはまだ歩き始めたばかりのピヨピヨ状態。これから話し合いたいこと、取り組みたい課題もたくさんあります。バトンを引き継ぎながらパパたちがつながる場を提供していきたいですね。

(取材・文/日経DUAL編集部 福本千秋 撮影/木村 輝)