先生も古参も新人もない、フラットな関係だから話しやすい

ヒロシ そこではもっと大勢のパパが集まって、皆で話すんです。みんな子どもを連れてくるので、お互いの子どもを抱っこしたり、遊んであげたり。そんなふうにしながら、「うちはこうしたよ、こう思っているんじゃないの?」って友達の恋愛相談を聞いているような感じ。話を聞いて、自分たち夫婦に合いそうなことを取り入れればいいんだよね

えーちゃんこと細井さんは1歳8カ月の男の子のパパ
えーちゃんこと細井さんは1歳8カ月の男の子のパパ

えーちゃん そうだね。PtoCのいいところって、参加者が100%、当事者なので、フラットな関係で話ができるところ。仕事やプライベートの環境が似ている人も、全然違う人もいるし、パパ歴が長い人も、パパになったばかりの人もいる。でもそういうのは関係ない。先生的な誰かがいて、大上段に構えて「相談します」というのではないし、正解を持っている人もいないからこそ、安心感を持って皆が色々な意見を言えるよね。

ヒロシ うちは上が5歳だけど、新米パパにも教えてもらうことも結構ある。この間も、子どもが1歳くらいのパパが、アウトソースの達人で、彼から聞いた「家事代行を頼みたくても、誰もいない家に他人を招き入れることにハードルを感じるかもしれない。けれど、妻の体調が悪かったりして、家族全員が在宅しているときにテストで利用すると、入口のハードルが下がりますよ」なんていう話は、なるほどとすごく勉強になったよね。

えーちゃん パパ未来会議でおもしろいのが、皆子連れという事もあってか、仕事のことはお互いにほとんど話さないんです。この間も、知り合って半年くらいの人と、初めて「そういえばどんな仕事してるの?」という話になったくらいです。

「産後のセックスレス」について話した会議は伝説に

―― 「パパ未来会議」というワードが出ました。これがPtoCの活動のメーンの場ということですが、どんなことを話しているんですか?

ヒロシ パパ未来会議の場で最後に参加者とのやり取りで、次の会議のテーマを決めています。これまでも「夫婦のお財布事情」や「キャリアとしてチャレンジしたいときの家庭とのバランスってどうしてる?」とか「お金が潤沢にあったらどういう教育を受けさせたい?」「妻の怒りスイッチ知ってる?」など色々なことを話しています。大きな公園に防災ピクニックに行ったこともあるよね。

えーちゃん 僕が初めて参加したときのテーマが「産後セックスレス」だった。これは理事メンバーの中では伝説の会議といっているよね(笑)

ヒロシ 産後セックスレスって誰にでも起こり得る問題で、皆程度の差はあれど悩んでいるのにそれを語る場がなかった。その背景にある夫婦の時間とかコミュニケーションをどう改善していくかという観点をパパたちで話し合ったんです

えーちゃん うちは子どもが生まれた直後だったから、まだピンとこなくて。でもすごく話が盛り上がって、ホントに印象に残っている。

ヒロシ 会議がきっかけになったのか、自然な流れだったのかわからないんですが、その後、会員たちに赤ちゃんが3人も生まれたんです。理事の僕らはPtoCベイビーと呼んでいます(笑)。

―― パパたちにとってセーフティーネットであり、子どもを介した新しい人間関係の場なのですね。ところで、皆さん、共働きの夫婦が多いのですか?

ヒロシ 色々な人がいて、今日集まった3人みたいに共働きで家事・育児をガッツリやっているという人もいれば、奥さんが専業主婦で自身は平日はほとんど家事をしない人もいます。妻がバリバリ働いていて専業主夫の時代もあった人もいます。

シン 家庭環境は色々だけど、それぞれの夫婦でディスカッションしてすり合わせて、家族と向き合っている。そこが、PtoCメンバーの特徴だと思います。

ギリギリで仕上げてくるところに妻子への愛がある

えーちゃん パパと子どもだけではなく、ママも参加できる忘年会などの場も設けています。皆でバーベキューをやったこともあるよね。

ヒロシ うん。そのときに、「夫から妻への感謝の手紙」というのをサプライズで企画したんだけど、普段は忙しいパパたちだから、前日の深夜までほとんど誰も用意していなかったんです。「書いた?」「まだに決まっているじゃん」みたいな会話が飛び交っていたのだけど、当日本番になったら全員書き上げていた。

 奥さんたちも喜んでくれて、中には「夫と離婚しようと本気で思っていたけれど、この手紙をもらってちょっと考えが変わりました」と泣き出してしまった方もいたんです。

 ギリギリまでできないけれど、最後は仕上げてくるところがPtoCらしいよね。「ダメパパだけど変わらなきゃ」というメンバーそれぞれの家族への愛を感じました