暴落時でも優待株は大きく下がらない傾向

 「株式投資は損をしそうで怖いと思っている人が多い。でもやり方次第なんです」。株式投資というと、売買により利益を得るものというイメージがありますが、それだけではありません。購入して株主になることにより、年に1~2回、投資先の企業から配当という利益還元を受けられたり、ここで取り上げている株主優待を受けられたりします。こうした定期的な収入の魅力に注目して投資をすると、メリットを継続的に得るために株を長く保有することになり、短期的な株価の動きはあまり気にならなくなるとのこと。

 「魅力的な優待品を提供してくれる会社だと、株式相場全体が落ち込むようなときでも、個人投資家は優待のメリットを手放したくないので売らない。だから株価が大きく下がらない傾向があります。優待株はその企業が優待をやめない限りはあまり損をしないといえると思います」

桐谷さんが毎日持ち歩いている「優待財布」は、さまざまな企業の優待券でパンパン。ただ今夏、大失敗したとのこと。。「お盆休み中に平日用の優待券を持ってその企業のお店で食事をしたら、『お盆なので休日券しか使えません』って言われちゃって…。泣く泣く現金で支払いました」(桐谷さん)
桐谷さんが毎日持ち歩いている「優待財布」は、さまざまな企業の優待券でパンパン。ただ今夏、大失敗したとのこと。。「お盆休み中に平日用の優待券を持ってその企業のお店で食事をしたら、『お盆なので休日券しか使えません』って言われちゃって…。泣く泣く現金で支払いました」(桐谷さん)

株主優待は少額投資家ほどおトクな制度

 優待投資は少額投資家ほど得をする仕組みになっていることも魅力だと、桐谷さんは話します。「資本主義社会というのは、お金持ちがよりお金持ちになるような仕組みになっていますが、例外が株主優待なのです」。株主優待を受けるには所定の株数を保有していることが条件になりますが、大抵の銘柄は株の売買単位である100株を保有していれば優待が受けられます。

 「ですが、100株の10倍の1000株持てば優待品が10倍になるというものでもないのです。中には株数に応じて優待内容がアップする銘柄もありますが、たいていは優待に必要な最小の株数を保有している場合が一番割りがよく、優待品を金額換算した数値を投資金額で割った“ 優待利回り ”が一番高くなります」

 例えば、株価が1000円で、100株以上保有していれば年に4000円相当の優待品がもらえる銘柄があったとしましょう。この銘柄を1000株購入した場合の優待利回りは、『優待品の金額換算(年4000円)÷銘柄の購入金額(株価1000円×1000株=100万円)=0.4%』となります。一方、100株だけ購入した場合の優待利回りは、『優待品の金額換算(年4000円)÷銘柄の購入金額(株価1000円×100株=10万円)=4%』と、1000株の場合の10倍に! 「このように少額投資家のほうが得をするのが優待投資なのです」。

優待投資は長期的な資産形成に向く

 でもまとまった資金がないから……。そう尻込みする人もいるかもしれませんが、「優待株は数万円程度から買える銘柄もあるので、使途の決まっていない余裕資金があるなら、まずは1つ買って試してみましょう」と桐谷さんは勧めます。「買ってみて株の値動きを実感したり、優待品が届く楽しさを味わったりして、優待株投資のよさが実感できたら、少しずつ銘柄を増やしていくといいですね」。

「優待品としてコンビニなどで使えるクオカードをくれる企業も多いので、例えば1000円分のクオカードをもらえれば、その分買い物代金の節約ができます。そうやって優待で浮いた分をコツコツ貯めて、次の銘柄を買う資金の足しにして投資を続けると、定年退職するぐらいまでに相当な銘柄数を保有できます。優待品である程度生活が賄えるぐらいになるかもしれませんよ」。

 優待に加えて配当も受け取れれば、年金生活の大きな助けになると考えられます。現役時代に増やしてきた銘柄を状況に応じて売却し、老後資金として使うこともできます。今から優待投資をしておけば、人生100年時代ともいわれる時代にも老後不安にかられずに対応できそうです。