親が説明することより、子どもが感じることが大切

──なぜ、ボランティアでキネコ国際映画祭に関わろうと思ったのでしょう。

戸田: キネコ国際映画祭に関わるのも、子どもたちにパワーをみなぎらせてほしい、感動する体験をしてもらいたい、そのために映画に触れてほしいという気持ちがあるからという部分が強いですね。もう本当に、作品に突き動かされているんですね、この映画祭に関しては。キネコ国際映画祭で見られる作品は、すべて子どものために作られています。海外に行かずして、一度に、様々な国の姿が見えてきます。国ごとに切り口や作風も違いますし、アニメーションのタッチも、実写版の描き方なども全然違うんです。その内容がそれぞれ本当にいいんです。
 例えば、これまでで印象的だった作品の中に、近所の子どもたちが仲良く遊んでいると戦争が始まり、子どもたちの家の間に鉄条網ができ、昨日まで遊んでいた子どもたちが、鉄条網を隔てて会えなくなる、遊べなくなるという作品がありました。そんな風に、戦争や内戦に関わる国で、何が起きているのか。それに対して子どもたちはどう見ているのか。子どもたちから見た戦争が描かれてるわけです。他にも差別や偏見を扱う作品があったりと、戦争や差別・偏見がどういうものか、なぜ起きるのかといったことを子どもに分かるように表現している作品がたくさんあるんですね。
 日本だと、今の子どもの親世代はもう戦争を知らない人ばかりでしょうし、祖父母世代も自身の体験からは語れないかもしれません。それを映画で見せていることには大きな意義があると思います。

──差別や争いは見せると悪影響が出るのではないかという意見も出がちですし、戦争のこと、差別のことなどは、子どもたちにどう説明すればいいか悩んでしまいそうです。

戸田: 説明することより、感じることが大切かなと思います。映画を見た子どもたちにしても、かしこまって感想文を書く必要なんてないんです。ただ感じればいい。なんとなくじんわりしたとか、泣いちゃったでもいいですし、見たまま、感じたままが、心に残るといいなと思います。
 例えば、戦争映画を一緒に見ていたお父さんやお母さんが泣いているとか、差別の話を見ても僕は泣かなったけど隣の女の子はすごく泣いていたという「体験の共有」は、子どもの心に残っていくと思います。言葉でどうのというよりも、家族みんなで共有するとか、同じような年代の子どもたち集まって、こういうことが起きているということを、感じて共有すること。それが理解を深めていくのではないかと思います。
 それに、楽しい作品もたくさんありますので、思い切り笑顔になってもらいたいですね。笑ったりハッピーな気持ちになったりすることも「感動」することですから。