実は、うちの長男は新学期が始まって入学したクラスが、自分より年下の子が多いクラスでした。これは昨シーズンまで通学していた学校にヒアリングをして、当人の語学力を踏まえて、入学する学年をアレンジしてくれていたのですが、一緒に遊べるような友達ができなくて少し悩んでいました。もちろん、本人は自分より年下の子が多いから友達ができない、という認識はなかったのですが、こうした様子を誰よりも見ていてくれたのが、先生とアドバイザリー組織の担当者でした。もっとも、イエナプランでは異学年が1つのクラスになるということを重視していますので、もともと同じクラスでも年齢はバラバラなのです。

 先生たちは実に細かく、こうした長男の様子を把握してくれており、さらに色々な科目のテストをしたうえで、私たちに学期途中での進級の打診をしてくれました。結果的に新学期が始まって1カ月足らずで、いきなり進級することになったのですが、こうしたことの調整はすべて、そのアドバイザリー組織がやってくれました。恐らく、結構な事務的な手続きがあったのではないか?と想像するのですが、こうしたことを先生がやるのではない、というのが日本との違いです。

 結果的には、突然進級したことで、友達もでき始めているようですが、このときも先生たちは「このクラスには仲の良い子がいるから一緒にしてあげよう」とか、「こっちは、面倒見の良い子がいるから、こっちがいいんじゃない?」などと、非常に細かく生徒を見ている様子が伝わってきました

 こうした組織、制度がすべて「子どもがいかに学校を楽しむことができるか」ということに結びついているのを実感します。日本とは大きな違いです。もちろん、国民性や文化などに根差した違いでもあり、教育制度だけの違いではないと思うので、どちらが良いか?悪いか?という問題ではないと思います。

 とはいえ、「子どもが世界一幸せな国」と言われる理由を垣間見た気がします。

全校生徒に向けて、クラスごとに演劇を発表。プロジェクト学習の一貫で、他人との協働を非常に重視しています
全校生徒に向けて、クラスごとに演劇を発表。プロジェクト学習の一貫で、他人との協働を非常に重視しています

 ――後編では、保護者の関わり方に焦点を当ててみたいと思います。

(文・写真/吉田和充)