子どもの自立を妨げないためには…

 「まもレール」の利用者は、意外にも小学生と中高生が約半分ずつの割合で、男女の割合もほぼ同じである。子どもが中学生、高校生と大きくなっても、親の不安は尽きないのだろう。

 「監視ではなく、子どもの行動を信頼し、自立をサポートできるような親子のコミュニケーションツールになってほしい」とは、「まもレール」を立ち上げた母親社員を中心とした開発チームの想いだ。

 私も、これまでは学校のICカードからくる下校メールを見て、子どもが最寄り駅に着くだろう時間に迎えに行き、改札でハラハラしながら待っていた。ところが、たいていの場合、待てど暮らせど戻ってこない。学校のある駅と学校との間は、大人の足なら10分もかからない道のりだ。もしや何か起きたのかと、どれほど気を揉んだことだろう。

 ところが、「まもレール」を利用し始めたら、なんと我が子は学校から駅までを40分近くかけて歩いていたことが判明! これにはびっくりした。大人の頭では、10分弱の距離を4倍の時間をかけて移動するなど思いもよらない。理由を聞いてみると、「お友達が忘れ物をして、一緒に学校に取りに戻ったんだ」とか「途中の壁にトカゲがいて、それをみんなで見てたんだ」とか、帰り道は子どもにとって毎日何かが起きる、重要かつ楽しい場所なのだということが分かってきた。

 どれだけ時間をかけて帰ってきても、「ピッ」と改札を通ったことが分かれば、心が軽くなる。子どもの行動が全く分からないことが、「イライラ」「ハラハラ」を募らせていたのだ。今では「まもレール」からのメールを見て、「今日は何の発見があったんだろう?」と、後で教えてもらうのが楽しみになった。心配でつい問い詰めてしまうこともなくなり、一歩引いて見守ることができるようになったのだろう。途中でハプニングがあっても、ちゃんと駅に着いているから大丈夫、という安心感が、子どもを少しずつ自立させても大丈夫だという親としての信頼を後押ししてくれている気がする。

 これからどんどん自分の世界を広げ、親には難しい年頃になって行く子どもたちの行動を「何していたの、こんな時間まで!」と頭ごなしにしかり飛ばすよりは、「今日はいつもより少し時間がかかったけど、お友達といたんだろうか」「帰り道に楽しいことを見つけて寄り道したのかな。でも安全に家に向かってるんだ」と子どもを信じて、親子の距離を上手にとれるツールとして使っていきたい。

 もし、親子の会話がちょっと減ってきたなという反抗期を迎えたお子さんがいるパパやママには、コミュニケーションツールとしてもオススメしたい。反抗期は子どもが自立をしたがっている時期でもある。子どもが嫌がることは、子どもの行動に対して、つど一方的に口を出したり、管理しようと過度に干渉することであり、それが結果的に自立を妨げることになるのではないだろうか。帰宅を問い詰めなくても、「まもレール」があれば子どもの行動を信じて待ってあげられるし、帰り時間に合わせて駅で“偶然”会って家までの道のりを一緒に話しながら歩く日をつくってみる、なんていうこともできそうだ。

 メールアドレスを追加登録できるので(月100円プラス)、パパを登録することで、子どもの習い事や学校について夫婦でもっと共有できる機会にも。もし日々の送迎を手伝ってくれている祖父母やファミサポさん、シッターさんがいる場合には、一緒に登録しておくのもいいだろう。「今日はいつもより早く帰ってきたんだね。もう通学にも慣れたのかな」なんて会話が家族の中で生まれる機会も増えるかもしれない。

少しずつ成長し自立する子供と親をつなぐ1本のメール

 今春、利用可能駅がJR東日本の首都圏244駅まで拡大することで、さらに広いエリアで、小学生から高校生までの年齢層の子どもたちの移動と安全をサポートしていく。

 普段、電車通学ではない子どもでも、習い事や塾、大切な試験や試合があるとき、そして夏休みなど休暇中のサマースクール通いといった時にも、登録しておくと便利だ。週末にちょっと祖父母や知人に子どもを預けてお出かけ、という際にも、離れたところにいる子どもの移動が分かると、やはり親としては安心できる。

 ずっといつも一緒にいて守ってあげたいが、少しずつ“自分でできる”が増えるように手を離していってあげるのも、親の役目。仕事をしている日中、子ども同士の付き合いや過ごし方が成長とともに変わる小・中学生の放課後……。一緒にいられないからこそ、離れていても子どもの安全を確認したい。そして、成長を少しずつ見守ってあげたい。

 そうして離れていく手の分、「まもレール」が親子の絆をつないでいってくれるだろう。

(取材・文/岩辺みどり)

見守りサービス「まもレール」の詳しい情報は