動線づくりで掃除がストレスフリーに
――ご夫妻は、具体的にどのように家事をシェアしているのですか。
犬山 基本的に彼が料理や洗濯などを担当し、私は主にリビングなどの掃除をするといったように、なんとなくエリアが分かれていて、お互い気づいたときにやっています。実は、今年の4月に引っ越しをしたのですが、きれい好きな友人のアドバイスで、新居の動線を考えました。掃除する場所のそばに掃除道具を配置するとか、すごく簡単なことなんですけど。
劔 道具は割と僕が選ぶんですが、これはここに置いた方が使いやすいとか、かがまなくても取れるとか動線を彼女が考えて。すぐ手に取れるところに道具があると、さっと掃除できるから、すごくいいなと思いましたね。
――動線を作ったことで、どのような変化がありましたか。
犬山 以前は、掃除を「やらなきゃ」と思った直後に、ベッドに寝転がってスマホでYouTubeを見始めたりしていましたが（笑）、掃除がストレスではなくなりました。せっかくの新居なので、とりあえず2カ月間家をきれいに保とうという目標を立ててやってみたら、すっかり習慣化。きれいに整っていることが喜びに変わって、だんだん掃除が楽しみにすらなってきたんですよ。今では仕事から帰ってきて、簡単にですけど、すぐに掃除するようになったほどです。
劔 昔は、「今から友だちと帰るから、ごめん！ 片づけといて！」という感じでしたけどね（笑）。今は、僕が寝ている間に、掃除をやってくれてたりする。
犬山 それは、道具が「家事しなきゃ」というハードルを下げてくれたおかげもあります。フワフワのハンディーモップでホコリを取るのは単純にすごく楽しいし、軽くて便利な「クイックルワイパー」は私も4歳になる子どもも大好き。やってくれるお手伝いNo.1で、クイックルを持って廊下を楽しそうにダーッと走るんです。ピカピカになって普通に助かっています。
気軽に「ちゃちゃっとやる派」に転身
劔 一番変化したのは、なんといってもトイレ掃除だよね。
犬山 正直なところ、もともとはすごく精神的負荷があったんです。でも、ここでも道具の力に頼ったらガラッと変わった。トイレの中に「トイレクイックル」と「クイックル ミニワイパー」を置くようにしたら、気になったとき、ささっと立ったまま床掃除できるし、汚れたシートを触らずに捨てられる。
私の中で「面倒臭い、重い、不潔」が掃除のストレス要因だったんですが、それをすべて解消してくれました。今は、オムツが取れた子どもが使った後とか、こまめに掃除できる自分がうれしい（笑）。私の中にも「トイレ掃除ができない自分に対する罪悪感」があったんだと思います。それが、道具を変えるだけで乗り越えられた。「よーし、掃除するぞー」って気負うんじゃなくて、気づいたら気軽に「ちゃちゃっとやる派」に変わっていました。
劔 ある程度整っている状態なら時間をかけて掃除する必要もないし、いい循環ができたよね。時間に余裕ができたから、食器を修復する「金継ぎ」でもやろうかな。最近凝っていて、誰か割ってくれないかなと思ってるほどだから（笑）。
犬山 私は家族3人で自転車に乗って、公園を走りたい。すごく幸せな時間なので、もっと増やしたいなと思います。
――今後、お子さんも含めて家族でどうシェアしていこうと考えていますか。
劔 例えば、食事の後は食器を下げるとか、とりあえず当番を決めて少しずつ子どもにもやらせるようにして、うちのバランスに巻き込んでいきたいですね。
犬山 私が苦手意識を持っている料理を、子どもと一緒に少しずつ覚えていければいいなと思っています。また、掃除は最初の入り口として、楽しいという感覚とセットがいいなと思っているので、子どもが興味を持ったり、簡単に使えるグッズを使いながら、「ホコリが取れて楽しいね」「家がきれいだと気持ちいいね！」というところを共有しながら一緒にやっていきたいですね。
取材・文／後藤かおる 写真／三浦伸一 構成／横濱啓子（remix-inc.）
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