無料クーポン券を活用して、抗体検査、予防接種を

──風しんの予防接種を受けるには、どうしたらいいのでしょうか。

高橋 過去に公的に予防接種が行われていない世代、昭和37年度~昭和53年度生まれの男性には、今、厚生労働省が、風しんの抗体検査とワクチン接種の無料クーポン券を発行、郵送しています。それをお近くの協力医療機関などに持参すれば無料で受けられますので、ぜひ活用してください。

手順としては、採血による抗体検査の後、十分な量の抗体がなかった場合に予防接種を受けていただきます。2度病院に足を運んでいただくことになりますが、その手間をかける価値は十分にありますよ。

勝間 僕は、妻が第三子を妊娠したタイミングで抗体検査を受けました。近隣の総合病院で受けられることが分かったのでクーポン券を持って訪れ、採血し、翌週くらいに結果を聞きに行きました。幸い十分な抗体があったので予防接種はしなかったのですが、それを知れたことで、妻の妊娠中も安心感を持って過ごすことができました。

高橋 勝間さんのように実際に行動を起こしている人はまだ少なく、厚生労働省の発表によると、抗体検査を受けた人は11.3%、ワクチンを接種した人は2.4%(2020年8月5日現在)。2021年度末までに、対象世代の男性の抗体保有率を90%に引き上げることを目標にしていますが、達成までの道のりはまだ長いというのが実状です。風しんの感染拡大を防ぐためには、90%以上の人が免疫を持つことが必要です。逆に言えば、それ以下であればいつでも流行する可能性があるということ。ちなみに、風しんの予防接種は、生ワクチンのため、妊婦さんには打てません。妊娠後に抗体価が低いことが分かった場合は、妊娠中をヒヤヒヤしながら過ごさなければなくなってしまいますので要注意です。

勝間 ただでさえ不安な妊娠中にそれは怖いですね。僕は、妻の妊娠で自分事化されたところがありますが、きっかけがないとなかなか行動に移しにくいという部分はあるかもしれないですね。もしも、送られているはずのクーポン券が見つからないとか、すでに捨ててしまったという場合にはどうしたらいいでしょうか。

高橋 クーポン券の詳細については、お住まいの市区町村に問い合わせてみてください。なお、住民票の住所が変わった方は、転居後の市区町村からクーポン券を再発行してもらう必要があります。

──過去に風しんに罹ったことがある方は抗体検査を受けなくてもいいのでしょうか。

高橋 風しんは、小児科医でも非常によく勉強している人でないと診断が難しい病気でもあります。また、自分は過去に風しんに罹ったことがあると記憶していたり、親に確認できたとしても、実はそれは勘違いで、麻しん、水痘、流行性耳下腺炎だったということはよくあります。ですから、母子手帳に医療者による記録がある場合以外は、確認のためにも、抗体検査を受けてほしいですね。なお、MRワクチンは、抗体を持っている人が重ねて接種しても全く問題はありません。私もクーポン券が届きまして、自分が働いている医療施設で抗体検査をしたところ、抗体はばっちりあったのですが、その後、自腹ではありましたが念のためにワクチン接種も行いました。何度受けても問題ないということもぜひ知っておいてください。

勝間 風しんの感染対策は、僕たち世代が積極的に行う必要があるということがよくわかりました。これを機に多くの人に問題意識を持ってもらい、抗体検査も予防接種も無料で受けられるこの機会を、ぜひ活用してほしいですね。

高橋 感染症の対策は、自分のためであると同時に社会のためでもあります。そんな意識と、正しい知識を持って、多くの方々に行動に移していただきたいです。

取材・文/鈴木友紀 写真/新山貴一