保育園や職場での対策が風しん感染予防の重要なカギに

──高橋先生、風しん感染予防のためには、保育園や職場での対策を重点的に行うことが大切だということですが、それはなぜですか。

高橋 職場が大切なのは、風しんの抗体を持っていない男性が集団で最も多く集まっている場所だからです。職場の誰かが罹れば、あっという間に感染が広がってしまいます。また、保育園などでは、そこに通う全ての子どもたちが、風しんに対する十分な免疫を持っているとは言えない状況のため、やはり感染が拡大してしまう可能性があります。現在の予防接種法では、男女とも幼児期に2回の定期接種が標準になっており、1歳前後で1回目のワクチンを接種することになっていますが、特に、保育園の0歳児クラスにはまだワクチンを受けていない子どもがいます。そこに、風しんに罹ったパパがお迎えに行って、ウイルスを持ち込んでしまったら、子どもたちが感染してしまいます。そういった点で、保育園や職場は、非常にウイルスを媒介しやすい場所なんですね。常に注意し、対策を行っていかなければなりません。

勝間 保育園児のパパの送り迎えは、僕自身も含め昨今増えています。第二子、第三子を妊娠しているママも多い場所ですので、本当に気を付けないといけないですね。

──風しん感染を予防するための対策法について、具体的に教えてください。

高橋 風しんはウイルスで媒介されますので、手洗い、うがいは必須です。うがいは日本人特有の習慣のようですが、確実に感染の確率を下げると言われていますので、風しん感染予防においても好ましいですね。

また、風しんは予防接種で感染を防げる病気です。風しんのワクチンは、1回の接種だけで高い免疫定着効果がありますので、ぜひ受けてほしい。ちなみに現在は、MRワクチンという、麻しん(はしか)と風しんのワクチンが混合されたものを接種することになるのですが、それによって、同時に麻しんの予防も可能になります。実は、麻しんこそ大人での重症化頻度も高く、解熱までにはインフルエンザの倍くらいの期間がかかります。また、感染力は風しんよりも強い。現在の20~40代は、麻しんの免疫を十分に備えていない人も多いようですので、その点においても、MRワクチンの接種は大変重要であり、意味があります。