日本はフランスよりもさらに男性優位
―― お二人とも、日本には複数回訪れたことがあるということですが、男女の機会平等については遅れているといわれる日本の状況についてはどう思われますか。
ガブリエリ 私は日本について深く勉強したわけではないので、間違っているかもしれませんが、率直にいうと日本はフランスよりもさらに男性優位の社会という印象を受けました。女性が活躍できている場が少なく、それによって男性も苦しい思いをしているように感じます。さらに日本の出生率は1.44と低く、少子化が深刻な状況です。遅かれ早かれ、「今のままでは立ち行かなくなる」ということで、方向転換を迫られることになるのではないでしょうか。
―― そんな日本はどうすればよいのでしょうか。
ガブリエリ これまで話したように、まず一つは、企業の中で指導的立場にある人を説得し、変えていくこと。二つ目は、女性が活躍できるように企業風土を変えていくことは、経済活動上のメリットがあることを示すこと。三つ目に、男性が男性を説得する役割を担うこと。これを女性の問題として片付けてはいけません。また、こういった活動をしようとすると男性は孤独になりやすいので、同じ意識を持つ者同士でつながることも大切です。
ムゾン これまでの私の経験から、特に女性に対してのアドバイスになりますが、集団の力を信じてほしいと思います。それから、発言することが力になる、ということも。私はあるフェミニストの団体に出会ってから意識が大きく変わり、その後の起業につながりました。
自分をさらけ出して発言することはリスクも伴います。しかしそういうとき、支え合う女性がいると非常に大きな力になる。だから、悩みや問題意識がある人は、集まって行動すると良いと思います。常に正しくあろうとすると自分を制限してしまうから、ときには間違ってもいいのだという気持ちで。そしてもっと遠くへ、より居心地の悪いところへ飛び込んでいく勇気を持ってもらえたら、と思います。
<関連サイト>
ガブリエリさんが組織する男性管理職のネットワーク「Happy Men Share More」の紹介ビデオ(日本語字幕つき)
https://www.youtube.com/aANjlvl7rdw
(取材・文/柳澤はるか、日経DUAL編集部 田中裕康 写真/谷本結利)