子どもに本場の英語や外国人との触れ合いを経験させたい、グローバルな感覚を身に付けてほしい…。そう考える人は日経DUAL読者にも多いと思います。しかし、留学するとなると色々と大変ですし、海外旅行に行くとしても、家族みんなの休みを合わせるのはなかなか難しいもの。

 「だったら、海外に行くんじゃなくて、日本に来てもらえばいいんじゃない?」

 そう気付いたのは、子育てしながら取材・執筆活動をしているライター・コラムニストの西山美紀さん。たまたまホームステイ受け入れ&派遣をする団体に勤める友人がいたこともあり、とんとん拍子に話が進みます。やってきたのは、17歳のドイツ人男子高校生! もちろんホームステイを受け入れるのは初めての西山家。小学5年生の長男、3年生の長女、そして平日はほとんど家にいない夫と共に、数週間にわたるホームステイが始まりました!

 ホームステイ受け入れを始めるきっかけや実際のホームステイ生活、お別れの様子をお伝えした上編中編に続き、今回はホストファミリーとして受け入れる前に知っておきたいこと、注意するべきポイントについて、一般社団法人日本国際交流協会の照井睦理事にお話を聞きました。

【初めてのホストファミリー】
(1) ホストファミリー体験記 ドイツ人高校生がわが家に
(2) 「寂しい」と長男が泣いた、ホームステイ別れのとき
(3) ホストファミリーになる前に知りたい注意点と心構え ←今回はココ

ホームステイは「家庭で国際交流を行うこと」が本質

 「ホームステイのホストファミリーになろうと思ったら、まず大前提として、高校生の交換留学としてのホームステイとは、“家庭で国際交流を行う”ことが基本的なテーマであるということを押さえておく必要があります」

 今回ご紹介した私のホームステイ受け入れでも、ホストファミリーとして留学生を受け入れるに当たってお世話になった、一般社団法人日本国際交流協会(以下、JAC)の照井睦理事はこう話します。

 「高校生の交換留学は、それぞれの文化を交換する“国際交流”というプロジェクトの一環です。大学生の留学は直接大学とやり取りをするのですが、高校留学の場合は世界中にある交換留学の派遣団体・受け入れ団体を通す必要があり、非営利団体でなければなりません。私たちの団体は、海外のいくつかの団体と契約を結んでいて、今は来年(2019年)夏の受け入れの選定が進んでいます。過去には、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、ドイツ、フランス、イタリア、ブラジル、ニュージーランド、オーストラリアなどから留学生が来ました。

 交換留学の世界共通のルールは、『学業成績が中以上であること』『保護者同伴の面接を行い、本人にやる気があり、親が賛成していてプログラムに理解があること』などです。求められる語学力は国によって異なりますが、日本側が受け入れる際に求めているのは、『平仮名とカタカナの読み書きができること。日本語で日常会話ができること』です。

 ただし海外には、日本語の能力について審査できる人がなかなかいないため、書類をこちらに送ってもらって審査を行い、スカイプでインタビューをします。日本語や英語がどれくらいできるか、日本での適応力はありそうかなどを判断して、プログラムの参加資格の最終決定をします」

 南半球やアジア各国は学校が2月や3月から始まるところが多く、欧米は9月から始まるのが基本なので、JACでは9月入学と4月入学の2種類の留学生を扱っているのだとか。

 「来日したら2週間、高校に通う前に私たちの団体で研修を行います。日本語や日本の基本的な習慣を学ぶ他、地震などの自然災害がほとんど起きない国の子もいるので、日本の災害について防災館へ学びに行ったりもします。この研修後、実際に日本各地の高校へ行き、各地のご家庭がホストファミリーとして迎えることになります。高校留学は、現地の高校に10カ月間通学することが世界共通のルールとなっています」

 JACでは、その研修期間の2週間(新橋まで1時間以内で通える家)と、日本各地の高校に通う際の3カ月以上、最長10カ月間(どの都道府県の高校かは、年によって異なる)の、ホームステイの受け入れ家庭を募集しています。

 「基本的には、高校側に在校生のご家庭などのホストファミリーをご用意いただいているのですが、どうしても用意できない場合に私たちの団体などの登録家庭から選定しています」