どうしても相性が合わず“ホストチェンジ”になることも

 とはいっても、どうしても留学生とホストファミリーの相性が合わず、“解消”となってしまうケースも少なくないのだとか。

 「例えば、ホストファミリーが、『色々なところへ連れていってあげているのに、なんで感謝しないの?』と不満に思い、留学生は『友達と遊びたいのに、休日ずっとファミリーといるのはつらい』と感じるようなすれ違いが起こるケースがあります。その他、留学生は一見大人っぽく見えますが、15~17歳の普通の高校生ですから、例えば友達と遊ぶのに夢中になって、終電帰りが続くなどの問題行動があることも。スマホで連絡を取ろうとしても、留学生がスマホの充電を忘れがちで、電池が切れて連絡が取れず、夜遅い時間までやきもきしてしまったというケースもあります。ホストファミリーから『留学生との生活を続けるのがつらい』と言われたり、留学生から『ホストファミリーを変えてほしい』という要望があったりして、“ホストチェンジ”になることもあります。

 もちろん、飲酒や喫煙など、日本でしてはいけないルールは事前に取り決めがあり、そのルールを守れなければ帰国してもらうことになります。それ以外の日常生活でもきちんとするように伝えていますが、文化や考え方が異なるため、どうしてもぶつかってしまうことは起こり得ます」

 それゆえ、「ホームステイって、なんだか楽しそう」「家で国際交流ができるなんてすてき」などと、いい面ばかりを期待していると、その期待が裏切られてしまう場合もあるわけです。自分の子どもでも、日々小さなトラブルはあるもの。留学生も一人の子どもとして、期待し過ぎず、人間同士の交流と考えて受け入れるとよさそうです。

実はホストファミリーの9割が共働き家庭

 仕事や育児に忙しく、家を不在にしがちな共働き家庭でも、ホストファミリーは務まるのでしょうか。

 「受け入れ家庭の登録表では、『母』の欄に仕事が書いてある人は9割ほど。専業主婦家庭は1割程度なので、多くの共働き家庭の方にホストファミリーをしていただいています。

 両親が夕方まで不在であれば、カギをどうするかという問題がありますが、カギを留学生に渡しているのは受け入れ家庭の半分程度。万が一、留学生がカギを紛失した場合は留学生の弁償となるので、そういったトラブルを避けるために、渡していない家庭もあります。その場合、『今日は帰宅が18時以降になるので、それ以降に帰ってきてね』などと留学生に伝えているようです。

 私自身も、これまで何度もホストファミリーをしてきましたが、帰宅するのが19時以降になる際は、『その前に帰ってきておなかがすいたら、冷蔵庫のこれを電子レンジで温めて食べてね』などと留学生に伝えていました。『自分で料理をしたい』という子もいたのですが、親の不在時に一人で火を使って、留学生に何かあってはいけませんから、電子レンジのみOKとしていました。また、長期間の間には、どうしても夕食が準備できない日もあると思います。数百円をテーブルに置いておき、『今日は外のお店で買ってきてね』と伝えた家庭もあります。その場その場に応じて、わが子を育てるときと同じようなイメージでいいと思います」