ホームステイはわが子を育てるのと同じ感覚でOK

 ホストファミリーがするべきこととしては、まずは朝食と夕食の準備、洗濯などの一般的な家事全般。個室が準備できなければ、同性の兄弟・姉妹と相部屋でもOKです。

 「平日の昼食は、ホストファミリーにお弁当を作っていただく場合もあれば、留学生のお小遣いでランチを買ってもらうこともあります。休日にホストファミリーと外食した場合は、各ご家庭にお任せしています。その他、掃除や洗濯などの家事は、留学生にもなるべく手伝いましょうと伝えています。いずれも、わが子を育てるのと似たような感覚でいいと思います」

 留学生とホストファミリーの相性は、実際に受け入れをしてみないと分からないもの。組み合わせによってうまくいったり、いかなかったり…ということは、よくあるそうです。

 「例えば、ホストファミリー側のおもてなし精神が高く、休みのたびに留学生を遊びに連れていきたいと思っても、留学生にしてみれば、『学校の友達と遊びたい』『休日は家でのんびりしたい』と希望していることもあります。逆にホストファミリー側が留学生の好きにさせてあげていたら、留学生側が『もっと遊びに連れていってほしい』という不満を持つケースもあります。

 その他、食事の仕方について、きちんとしないと厳しく注意するご家庭もあれば、何をしていてもOKというご家庭もあるでしょう。食事を1人分ずつ並べる家庭と、大皿をたくさん並べて自由にとるスタイルの家庭もありますが、後者の場合、『5人分のお皿から、留学生がいつも4人分を食べて困った』と言われたこともあります。その場合『これは、5人分だから、1人分にしてね』などと丁寧に伝えるなど、うまくお互いの考え方をすり合わせてもらえたらと思います」

受け入れ家庭が感じる、「実は困った」「驚いた」エピソード

 生まれも育ちも違う人間同士が長い時間同じ家で過ごすわけですから、「思っていたことと違う!」「こんなことだったとは!」と驚いたり、困ったりするケースも多々あるようです。

 「留学生がお風呂やシャワーにあまり入らないというお悩みはよく聞きます。例えば北欧では乾燥しているため、週に1度程度しか入らない家庭も多いようです。ホストファミリーが『気持ち悪いだろうから、お風呂に入ったら?』と留学生に何度言っても、なかなか入ってくれないという声も聞きます。これは、文化の大きな違いですね。

 その他、日本ではひどい風邪を引いたら病院に行くと思いますが、なかなか病院に行かないという留学生も少なくありません。一般的に海外では医療費が高いということに加え、留学生が日本で医療機関を受診する場合は10割負担になるので、ギリギリまで様子を見てしまうようですね。ホストファミリーとしては『家族に風邪がうつるから、早く病院に行ってほしいのに…』ともどかしく感じることがあるかもしれません」

 すれ違いやトラブルが起こったら、できるだけ直接本人に伝えるのが得策。話し合って、ちょうどいい落としどころを見つけたいものです。

 「留学生からよく言われるのは、『なぜ日本のホストファミリーは、要望を直接言わないのだろう?』ということ。日本人は、思ったことをはっきり言わない傾向がありますから、留学生に改善してほしいことがあると、『○○くんに伝えてほしい』と私たちに連絡が来ることが多いです。そのことを留学生に伝えると、『なぜ団体を通して言うのか?』と驚かれます。日本に比べると、他の国々では自分の意見を言うことに慣れているので、何かあったら直接話し合いをするほうが良好な関係を保てると思います」