ファンから学んだ、お客様と良い循環を生み出すアンバサダープログラム

 今、私が最も関心を持っていることの一つが、「デル アンバサダープログラム」の活動です。デルはダイレクト販売を基本としていますので、お客様に直接会う機会は、少し前まではほとんどありませんでした。

 しかし、何らかの製品を買う際に、お客様は企業から発信された情報を鵜呑みにするわけではありません。情報を受け取ったあと、必ず何かを考えています。パソコンを買おう思っている人は、いろいろ考えた結果、デルの製品をオンラインサイトで買ったり、量販店に足を運んで買ったり、あるいは他社の製品を買ったりしています。

 その段階でお客様は何を感じ、何を思い、そしてなぜ最終的にデルの製品を買う気になったのか。そもそもデルは一体どのように思われているのか、といったお客様の思考を、率直に知りたいと思ったのです。そんな想いからスタートしたのが、「デル アンバサダープログラム」です。

 私は、「デル アンバサダープログラム」を立ち上げた当初より、「お客様」と「デル」の双方がウィンウィンの関係になるプログラムに育てていきたいと考えていました。メーカーとしてアンバサダーの方に何を提供できるか、逆にアンバサダーの方たちから何を学ぶことができるか。それには何をしたらよいのか、といったことを、立ち上げ当初、社内のさまざまな部署のメンバーと考えました。

 そこで出たアイデアが、モニターへの実機の貸し出しです。モニターを選定し、デルの実機を1カ月間貸し出して体験してもらい、その後フィードバック座談会を開いて、徹底的に語り合うのです。

 モニターには熱意のある人に参加いただきたいという思いから、申し込みフォームには敢えていくつもの質問項目を設けてあります。モニターを選定する際には、入力いただいた内容を詳細に検討すると共に、地域や年齢も考慮しますので、最終的に選ばれた方たちは、デルのパソコンに対してかなりの熱量をお持ちです。だからこそ、貸し出した実機をモニター期間中にじっくりと使い込んでくれますし、レビューも詳細に真剣に書き込んでくれます。

 「蓋が開けづらい」とか「この部分が少し使いづらい」などのご意見をいただくこともありますが、実際に実機を使ってみた上での貴重な感想ですので、私たちは、モニターの方に、そのまま本音のレビューを発信して頂いております。

 2016年12月に立ち上げた「デル アンバサダープログラム」は、間もなく2周年を迎えます。現在、会員数は約7,000人。3カ月に1度、アンバサダーの方とデル社員が顔を合わせるイベントも行っています。

 私たちが製品の良さを明確に伝え、熱量の高いファンの方たちがそれを本音のレビューというかたちで返してくれる。その声に共感してくれる方が新たなアンバサダーになり、さらにその中から新たな熱心なファンが生まれる、という良い循環が生まれてきていると感じています。

 女性の割合も、発足当初は5%でしたが、現在では20%まで増えてきました。デルの広告クリエイティブは女性目線を意識していますが、これは、働く女性が増え、パソコンがますます身近なものとなっているからです。自分が気持ちよく使えるものを選びたい、という女性ユーザーは確実に増えてきています。

 日本の全人口に対して7,000人というのは、まだ豆粒のようなもの。アンバサダーの方の力を借りながら、「デル アンバサダープログラム」をさらに発展させていきたいですし、もっと面白いものにできると思っています。