ほんの少し「丁寧な暮らし」ができたかもしれない

 普段の生活は、やれ子どもたちの習い事だ、宿題だと慌ただしいもの。「早く“音読(の宿題)”しなさい」と子どもに言っておきながら、料理のジュージューする音で全く聞こえず「台所に来て!」と理不尽なことを言ったりしています。でも、ホームステイ期間中は小学校の夏休み中だったので、日々の宿題に追われることはなく(夏休みの宿題はありますが…)、のんびりと晩ごはんの食卓を囲むことができました。

 手を合わせて、声をそろえて「いただきます!」と言う瞬間など、ああ、家族だな、丁寧な暮らしだなと、ささやかな幸せを感じました。

 普段は、やるべきことを優先しているうちにあっという間に時間が経ち、トイレやお風呂の排水溝、洗面所などの水回りのお掃除はどうしても後回しになってしまいがち(私だけ?)。でも、ホストファミリー宅のトイレやお風呂、洗面所が汚かったらさすがに悲しいので、できるだけ掃除しました(胸を張って言うことではない)。でも、毎日ちょこちょこ掃除していれば、あっという間に終わるし、気持ちがいい。ちょこちょこ掃除は家事の基本のキだと頭では分かっていたのですが、ズボラな私にとっては実践的な気付きになりました。

教科書ではなく、肌身で感じる学びの尊さ

 もともとは「子どもたちが外国の人や文化に少しでも触れられたらいいな」という漠然とした思いがあって始めたホームステイ受け入れでしたが、“海外の文化”以外にも、たくさんの学びが子どもたちにあったと思います。

 Aくんがだんだん日本語を話すようになっていく過程。日本語や英語だけでなく、ドイツ語など世界には様々な言語があること。高校生でも、単身で海外に行ってホームステイをする人がいること。自分たちの母(=私)も英語に四苦八苦しているけれど、それでも通じ合えると楽しそうなこと。

 いずれも、大きな刺激として受け取るのではなく、日常に溶け込み、肌身に触れながら感じられたことは本当によかった。大人に大事なことを抽出してもらって教科書的に学ぶのではなく、日常の一環として感じ取れるのは、ホームステイならではだなと思いました。