息子にとっては初めてできた「お兄ちゃん」だった

 息子にとっては「お兄ちゃん」ができた感覚だったようで、幸せな3週間を過ごしたようです。Aくん用の和室はリビングのすぐ隣で、引き戸が付いているのですが、Aくんは寝ている間以外は引き戸を開けて、オープンにしてくれていました。

 夕食後など、Aくんが和室でのんびりしていると、息子が隣にゴロンと寝て、そのまま寝入ってしまうこともありました。

 それはさすがに迷惑になると思った娘(妹)が起こそうとしたら、Aくんが「(今寝ているところだから)しー」と言ってくれました。なんて優しいんだろう…(さすがに後で私が起こしましたが)。

 子どもたちにとっては毎日がお祭りだったようで、Aくんがいることがうれしくて、ふざけて大騒ぎをしてしまうことも多々ありました。その延長で兄妹ゲンカになることも多く、「ごめんね、こんなにうるさくて…」と伝えると、「いやいや、僕も10年前は同じだったから大丈夫」と言ってくれました。17歳なのに、なんて大人な発言。

 子どもたちが今回の体験で海外に興味を持って、いつか自分も海外でホームステイしたいと言い出すことがあるかもしれません。そのとき、もし何か困難なことがあっても、「Aくんもあのとき、明るく頑張っていたな」と思い出し、励みになるかもしれないと感じました。

ドイツ語を教えてもらったり、日本語を教えたり

 子どもたちは、Aくんから「こんにちは(Guten Tag)」などのドイツ語を教えてもらったり、逆に日本語を教えたりしていました。

 私も、ドイツについて色々話を聞きました。ドイツでは、うちの夫のように深夜に帰宅することは珍しく、遅くとも20時か21時には帰宅する人が多いこと。移民が増えていること。日本と同じように高齢化が進んでいること。北欧はキャッシュレスが進んでいること。トルコ・ショック(トルコリラの急激な暴落)に驚いたこと、などなど。

 私自身、もっと英語ができれば、より突っ込んだ話ができるだろうに…と歯がゆく思いながらも、大変勉強になりました。

 いや、待てよ。大人っぽく見えるけれど、Aくんはまだ高校生。自分自身の高校時代を振り返り、社会についてこんなに幅広い話ができただろうか…とも考えてしまいました。ぜひ子どもたちもAくんのように、社会への興味を広げてほしいという思いが高まりました。