子どもに本場の英語や外国人との触れ合いを経験させたい、グローバルな感覚を身に付けてほしい…。そう考える人は日経DUAL読者にも多いと思います。しかし、留学するとなると色々と大変ですし、海外旅行に行くとしても、家族みんなの休みを合わせるのはなかなか難しいもの。

 「だったら、海外に行くんじゃなくて、日本に来てもらえばいいんじゃない?」

 そう気付いたのは、子育てしながら取材・執筆活動をしているライター・コラムニストの西山美紀さん。たまたまホームステイ受け入れ&派遣をする団体に勤める友人がいたこともあり、とんとん拍子に話が進みます。やってきたのは、17歳のドイツ人男子高校生! もちろんホームステイを受け入れるのは初めての西山家。小学5年生の長男、3年生の長女、そして平日はほとんど家にいない夫と共に、数週間にわたるホームステイが始まりました!

【初めてのホストファミリー】
(1) ホストファミリー体験記 ドイツ人高校生がわが家に ←今回はココ
(2) 「寂しい」と長男が泣いた、ホームステイ別れのとき
(3) ホストファミリーになる前に知りたい注意点と心構え

海外に行けないのなら、来てもらえばいい!

 子どもたちには、海外の人や文化にたくさん触れる機会を持ってほしい――。

 常々そう考えているものの、本人たちがやりたがることを優先した結果、現在英語の習い事はさせていません。保育園時代は家族で海外旅行に行くこともありましたが、小学生になってからは、兄はサッカー、妹はモダンバレエなどの練習がみっちり入っており、夏休みの海外旅行は難しい状況。私はフリーランスなので、休もうと思ったら努力と工夫次第でいつでも休めるのに……実際は家に張り付きっぱなし。どうしたものか、と思っていました。

 そんな中、友人のIさんがホームステイの受け入れ&派遣をする団体に勤めていて、「日本でホストファミリーを探しているのだけど、なかなか見つからなくて…」と話していたのです。興味はあったものの、内心「ホームステイのホストって大変そうだし、家族の生活だけでもてんてこまいなわが家じゃ難しいだろうな」と思っていました。

 …でも、ちょっと待てよ。現在のわが家は受験生がいるわけでもない。少し前に引っ越しをしたばかりで、小さな和室だけれど、空き部屋もある。やるなら、今しかないのでは?

 そんな気持ちがむくむくと頭をもたげ、思い切ってIさんに「今年なら受け入れできるかも」と伝えました。そう、私は気が付いたのです。子どもにグローバル体験をさせてあげるには、海外に行くだけが唯一の手段じゃない。うちへ外国人に来てもらえばいいんだ、ということを!

 私自身の海外経験を振り返ると、大学時代の夏休みに1カ月間、そして社会人になってからは1週間程度の無計画な一人旅に何度か行っていました。行き先は主にヨーロッパ、宿泊先はドミトリーが多かったので、同じ部屋に違う国の人が寝ていることにそれほど抵抗感はありません。25歳のときにはアイルランドで1週間のホームステイをさせていただいたこともあり、ホームステイとはどういうものか、イメージはできていたことも背中を押してくれました(ちなみに、肝心の英語はあまり自信がありません…)。

 私が滞在したアイルランドのホストファミリー宅は70~80歳くらいのご夫婦で、ホストファミリー経験が豊富なようでした。部屋にあった世界地図には、滞在した留学生の国と思われる場所にたくさんの印が。「日本はこのあたりかな…」とおじいちゃんが指した場所は、エジプトのカイロだったけど…(笑)。

 食事はシンプルなものでしたが、家に寝泊まりして、一時的に家族になった経験は、今でも心の中に温かい思い出として残っています

 そんな昔のことも思い出し、ピッカピカで豪華な食事をずらりと並べてというわけではなく(そもそも無理ですが)、ありのままの暮らしを体験してもらえばいいかと、気楽に考えることにしました。

 Iさんが勤める団体で募集していたのは、日本への留学を控えた高校生のホームステイ先でした。日本各地の高校に約10カ月間通う前に、事前研修として新橋のオフィスで2週間ほど、日本の基本的な文化を学ぶのだとか。2週間くらいだったら、料理のレパートリーもなんとかなるはず…。

 というわけで、ホストファミリー登録をして、Iさんとの面談も経て、受け入れ準備に入りました。「希望に添えるかは分からないけれど、留学生の国や男女の希望はある?」と聞かれ、小5長男の「サッカーができる男の子がいい!」という希望を伝えました。国籍は、どこの国の人でもOKです!