気になる舞台裏はこうなっていた

 今回、「日経doors」「日経DUAL」「日経ARIA」の有料会員の方々のために用意していただいたバックステージツアー。劇場技術担当の中村さんに、隅々まで案内していただいた。

この構造のシアターはオランダ・アムステルダム郊外の「Theater Hangaar」に次ぐ2つ目
この構造のシアターはオランダ・アムステルダム郊外の「Theater Hangaar」に次ぐ2つ目
観劇中は気づかない天井部のプロジェクター部分
観劇中は気づかない天井部のプロジェクター部分

 まず気になるのは、客席が動く仕組み。「回っているのはターンテーブル上の1324席ある客席の部分。客席だけでおよそ130トン、満員になると約200トンになります。客席の下にタイヤと電気のエンジン(モーター)があり、動きの速度と回転方向、回転角度を事前にコンピューターにプログラミングして操作しています。今回の舞台では、『ウエスト・サイド・ストーリー』オリジナル曲の長さを変えられないことから、曲に合わせ速いときはフルスピード(人の早歩きのスピード)で動かしています」(中村さん)

 「IHIステージアラウンド東京」は、スクリーンのどこを開閉するかで、場面が転換していく構造となっている。劇場内に4枚あるスクリーンの重さは、1枚およそ1トン。高さは約8メートルもある。1枚1枚のスクリーンの位置情報を、天井に設置された10台ほどプロジェクターが計算、動くスクリーンに対してプロジェクターが追いかけて映像を映し出すというハイレベルさだ。もちろんそれが、見ている観客と舞台の一体感を生む魅力の一つでもある。

回転する境のつなぎ目
回転する境のつなぎ目
客席が回転するために舞台袖に配置されているオーケストラピットの部屋
客席が回転するために舞台袖に配置されているオーケストラピットの部屋

 そしてミュージカルには付きもののオーケストラ。カーテンコールで指揮者が登場したけれど、この劇場、オーケストラピットが見当たらない。

 その答えは舞台袖にある小さな部屋にあった。指揮者は部屋の中央にあるモニターを見ながら、舞台と息を合わせて演奏しているんだそう。音は各楽器の前にあるマイクで拾う。感動の生演奏はここから生まれていたのだ。