今年話題になったヒアリ、通学路で気を付けるべきチャドクガ

―― 最近、日本の港などで発見されている「ヒアリ」について教えてください。

 「ヒアリは熱帯・亜熱帯地域のアリで、小型ですが攻撃的です。毒針に刺されると火がついたように痛いと言われています。アルカロイド系の毒をもち、体質によってはアレルギー反応を起こすことがあります。アナフィラキシーショックには注意が必要です」

 「1990年代にセアカゴケグモというオーストラリア原産の毒グモが日本で発見されたとき、大騒ぎとなりました。今では本州、四国、九州の各地に広がってしまいました。ヒアリも各地に広がってしまうかもしれません」

―― 他に、都市部で気を付けるべき生き物はありますか。

 「僕が自分の子どもにいつも『気を付けるように!』と伝えているのは、ガの仲間である『チャドクガ』です。幼虫は春と秋の年2回現れ、市街地のツバキやサザンカの葉などに大量発生することがあります。チャドクガが怖いのは、『毒針毛』という針のような毒毛を一生持ち続けること。くっついている葉を触ってゆらしてしまったり、風が吹いたりしただけでも、この毒針毛はかんたんに抜け落ちて、皮膚や衣服につきます

 「毛の中には毒液があり、かゆみや痛み、腫れなどの皮膚炎を引き起こします。かきむしると毒針毛が細かくくだけて広がるので、ついてしまったら粘着テープで取り除くか、水で洗い流すことが大切です。ツバキの木などが通学路にあることも多いので、お子さんには普段の生活のなかにも、危険が潜んでいることを教えてあげるといいかもしれません。そして、生き物の生態を知ることで、きちんとした予防ができることも、併せて伝えてほしいです」

チャドクガの一生/出典:小学館の図鑑NEO「危険生物」 (c)今井桂三
チャドクガの一生/出典:小学館の図鑑NEO「危険生物」 (c)今井桂三

<関連サイト>
図鑑NEOのサイト https://www.shogakukan.co.jp/books/09217221

(取材・文/日経DUAL編集部 砂山絵理子)