死者も出ているマダニ。なぜ今?

―― 他に危険生物として、気になるのが「マダニ」です。死者が出たというニュースもたびたび耳にします。

 「ダニはクモの仲間で世界に約5万種います。ほとんどのダニは無害ですが、マダニなど一部は人を刺します。マダニに刺された後で熱が出たり、だるさを感じたりした場合は、マダニが運ぶ病気にかかった恐れがあります。近年、農村部の人口が減り、シカやイノシシなどが増えています。こうした動物にくっついて、マダニが人里に広がってきたのだと考えられています」

 「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は2011年に初めて特定されたウイルス(SFTSウイルス)による病気です。マダニに刺されてから1~2週間後に発熱、体のだるさ、吐き気や下痢、腹痛などがあり、重症の場合は死ぬこともあります。日本では2013年に初めて見つかり、2016年までに53人が亡くなりました」

―― ダニは布団などに大量に潜んでいる印象があります。寝床で刺されたらダニの可能性が高いのでしょうか。

 「ダニのほか、シラミの可能性もあるかもしれません。シラミと名前の中にあるのですが、保育園や小学校でよく被害報告される髪の毛につく『アタマジラミ』ではなく、『トコジラミ』というカメムシの仲間です。トコジラミは夜行性で、刺されると激しいかゆみや、赤い斑点が出ます。また『ネコノミ』というノミも人を刺します。激しいかゆみがあり、水膨れになることも多いです」

タカサゴキララマダニ(左)とトコジラミ/(c)ruderal inc.
タカサゴキララマダニ(左)とトコジラミ/(c)ruderal inc.
タカサゴキララマダニ(左)とトコジラミ/(c)ruderal inc.